東京高等裁判所 昭和47年(ネ)621号 判決
以上認定の事実によれば、控訴人は被控訴人のA子との情交関係によりその精神的平和をみだされ、重大な精神的損害をこうむったものと認めるのを相当とする。
ところで、本件慰謝料額の算定にあたっては、次の事情を考慮しなければならない。すなわち、本件不祥事の発生については第一に被控訴人の責任を問うべきであることはもちろんであるけれども、そもそも被控訴人がA子との交際において不倫な情事の深みにおちいるに至ったについては控訴人及びA子の被控訴人に対する態度に起因するところが多大であって、控訴人及びA子は、交通事故に関して何らか便宜を図ってもらう意図をもって現職の警察官である被控訴人を饗応し、物品を贈与したのみならず、A子は単身被控訴人と家の内外において親密にすぎる交際を続け、控訴人も当初から情事そのものはともかく妻の右のような行動を黙過していたのであるから、控訴人及びA子のこれらの行動にも相当に常軌を逸したところがあり、大方の非難を免れ得ないものといわなければならない。右の事情を考慮するとき、控訴人の受けた精神的損害は金五〇万円をもって慰謝すべきものと認めるのを相当とする。
(浅沼 田嶋 園部逸)