東京高等裁判所 昭和47年(ネ)65号 判決
約束手形振出人の行為について民法一一〇条の適用があることはいうまでもないところであるが、この場合同条にいわゆる第三者とは、通常は手形に受取人として記載された者を指し、その者から裏書を受けて手形を所持する者を含まないと解すべきである。しかし、手形受取人として形式上記載されたものが振出人に対し表見代理を主張できない場合であっても、右受取人には振出人と手形授受ないしは原因関係について実質上の関係がなく、むしろ手形に被裏書人と記載されたものもしくは白地裏書のときの所持人と振出人との間に右実質上の関係がある場合においては、所持人は振出人に対し直接表見代理を主張し得ると解すべきである。
(菅野 渡辺 園部逸)