東京高等裁判所 昭和47年(ラ)139号 決定
よって、按ずるに競売法による不動産に対する競売についてはその執行機関は競売裁判所であり、執行官は競売裁判所の機関として法定の事務を処理するに過ぎないものであるから、抗告人がかかる執行官の処置そのものを違法とし、その取消を求めて執行方法に対する異議申立を固執する限り、本件抗告は理由がないものとして却下すべきものとする点については、当裁判所も原決定の説示するとおりであると考えるものであるが、原審における抗告人提出の「執行方法に対する異議申立」及び「執行方法に対する異議申立の追加理由」並びに当審における「即時抗告申立の理由書」と題する各書面の内容を些細に検討すると、その主張に係る違法事由はいずれも形式的には執行官の処分についていうものの如くであるけれども、その実質は右執行官をその機関として一連の競売手続を進行せしめている執行裁判所の権限に属すべき事項に向けられているものであって、まさに執行方法に関する異議を主張するものと解することができる。しかしてその主張の如き異議事由が存すれば、利害関係人は執行手続中の各段階においてその都度これに対し執行方法の異議を申立て競売裁判所の判断を経て手続の是正を求め、違法な手続を基礎として爾後の手続が積み重ねられる無益を防止しうるものと解するのが相当である。原審としてはよろしくかかる見地に立って抗告人の異議を検討し、その主張する異議事実の存否及びその理由の有無について実質上の判断をすべきものであった。
しかるに原審はことここに出でず、直ちに抗告人の異議を不適法として却下したのは失当である。よって当裁判所は原決定を取消して本件を原審に差戻して異議事由の有無について審理せしめるべきものとする。
(浅沼 加藤 園部逸)