東京高等裁判所 昭和47年(ラ)849号 決定
案ずるに、競売法による不動産競売事件につき同法に規定のない場合において民事訴訟法の強制競売に関する規定を準用すべきものであるところ不動産競売開始決定に対し不服の存するときは、その事由が手続上の事由たると実体上の事由たるとを問わず、民事訴訟法第五四四条の規定に準じまず異議の申立をし、その申立に関する裁判のあった後これに対し同法第五五八条に従い抗告をなしうべきものであって、不動産競売開始決定に対し同法第五五八条によりただちに即時抗告をなすことは許されないところである。
しかして、本件記録および記録添付にかかる債権者絵鳩春子、債務者本件抗告人および福地令子間の浦和地方裁判所川越支部昭和四七年(ケ)第一八号不動産任意競売事件記録に徴すれば、右債権者絵鳩春子の競売の申立により同裁判所が昭和四七年四月三日右債務者ら所有の別紙物件目録記載の物件につき競売手続開始決定をした(昭和四七年(ケ)第一八号)ところ同債務者らは同債権者を相手方として右抵当債務の支払につき豊島簡易裁判所に民事調停の申立をするとともに、右競売手続の停止を申立て、これにより同裁判所が同年八月二六日右調停事件終了に至るまで右競売手続の停止決定をしたこと、そうして青木建設有限会社は、同年九月八日浦和地方裁判所川越支部に対し右物件と同一物件につき本件競売の申立をし、右申立は、同年九月一一日債権者絵鳩春子の申立にかかるさきの不動産任意競売事件記録に添付され、これにより同日本件に関し競売手続開始決定があったのと同一の効力を生じたことが認められるが、本件記録を精査してみても、右記録添付による競売手続開始決定に対して本件抗告人(右競売事件債務者)から異議の申立のあったことを認めることができない。
(浅沼 間中 園部逸)