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東京高等裁判所 昭和47年(行ケ)31号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔編注〕一 特許庁における手続の経緯

原告は、特許第五二七、四一七号「密栓容器」の特許権(昭和四十年一月十九日実用新案登録出願にかかる昭和四〇年実用新案登録願第三、四六四号を昭和四十年五月二十五日特許出願に出願変更し、昭和四十三年九月十四日特許登録)の権利者であるところ、被告は、昭和四十四年五月十二日、本件特許権につき特許無効の審判を請求し、昭和四四年審判第三、八二八号事件として審理された結果、昭和四十六年十二月十三日、「本件特許を無効とする。」旨の審決があり、その謄本は昭和四十七年二月二十八日原告に送達された。

二 本件特許発明の要旨

容体の口部に突設せる螺子の下端に突部を設け、螺子と螺合する蓋体の下縁に連絡片を介して同一体に環体を成型し該環体の内側面には凸部を突出し、蓋体を容体の口部に螺動させながら環体の凸部を容体の突部を乗り越えさせて掛止して蓋体の回動を停止せしめ蓋体を容体に締着密栓封印し、蓋体を逆回動して連結片を切断し、蓋体と環体とを切り離して開栓するようにした密栓容器。(別紙図面省略)

〔判決理由〕二 原告は、本件審決は、本件特許発明と引用例(仏国特許第一、三四七、八九五号明細書)のものとの差異を看過し、両者を発明として同一のものであるとした点において、判断を誤つた違法のものである旨主張するが、右主張は、以下に説示するとおり、理由がないものというほかはない。

(一) 原告の主張(一)の点について

原告は、本件特許発明においては、蓋体の下縁に連結片を介して接合されている環体は、「蓋体の直下」に位置するごとき構造を有しているのに対し、引用例記載のものにおいては、環状体の口径がキヤップの口径より広い構造を有し、この点において、本件特許発明は、引用例記載のものと構成上の差異を有する旨主張するが、本件特許公報の特許請求の範囲の欄には、単に「蓋体の下縁に連結片を介して同一体に環体を成型し」とのみ記載せられ、原告主張のような「蓋体の直下」なる限定的文言はなく、また、その発明の詳細な説明の欄にも、「蓋体の下縁に連結片を介して同一体に環体を成型し」、「蓋体5の下縁には数個の連結片6を介して同一体5よりやや大径の環体7を設ける。」、「蓋体5と環体7とを連結する連結片6は蓋体5の下縁より適宜間隔を置いて数個突設し、環体7を同一体に連結する。」、「環体7は蓋体5の内径より大径に形成し」、との記載が存在するにすぎず、特許請求の範囲の欄の記載を「蓋体の直下」に環体が連結片を介して接合されていると解すべき根拠はないから、原告の右主張は、理由がない。

(二) 原告の主張(二)の点について

原告は、本件特許発明においては、環体の切込みは壜の頸部の突部を乗り越えて掛止されているに対し、引用例のものにおいては、ビードにより固定されている点において、両者は、構成上の差異を有する旨主張するが、引用例には、「第3、4および5図は、それぞれびん頸部に形成した環状突出部の異なる実施例を示し、第6および7図はそれぞれ異なる実施例におけるキャップをびんの軸を横断する方向に切截し、環状体とこれと係合するびんの環状突出部の形状を示す断面図である。」と記載されており、これに対応して、添付図面として第3図ないし第7図が掲載せられており、また、同号証には、「環状体は第1および第2図に示す以外の方法によつても、これを環状突出部上に係止しうる。つまり、突出部(8)は第3図に示す如くにその形状を変えてもよい。また、同様にその周面が一端を断たれた勾配面を呈するよう数個の定着用切込みを設けてもよい。この切込みと係合する突出部を実施例に示す如く補足的に環状体の内面壁に設ける。」、「第7図に示す実施例では、環状体(2)につめ(10)を設け、これに対応する凹部を環状突出部(8)の周面に設け、これらを係合させる。各つめはもち論第5図に例として示したような凹部に対応する形状を有する凸部にこれを変えてもよい。」とそれぞれ記載されており、これらの記載を総合すれば、引用例記載のものも、その第5図記載の実施例のものは本件特許発明のものと同様、環状体(本件特許発明における「環体」に相当)の切込みは壜の頸部の突出部(本件特許発明における「突部」に相当)を乗り越えて掛止されるという構造を有することが認められ、他にこれを左右するに足る証拠はないから、この点に関する原告の主張も採用することはできない。

なお、原告は、引用例の添付図面の実施例は不完全であり、実施不能のものであるから、これにより本件特許発明の新規性は阻害されない旨主張するが、前段説示のとおり引用例記載の第5図の実施例のものは、本件特許発明のものと同一の構造を有するものであり、その構造に照らし実施不能のものとはとうてい認め難いから、原告の右主張も理由がない。

(むすび)

三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。よつて、これを棄却する。

(三宅正雄 武居二郎 布井要太郎)

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