東京高等裁判所 昭和47年(行ケ)6号・昭47年(行ケ)7号 判決
一、引用例の技術内容の認定について
成立に争いのない甲第三号証(引用例)によると、引用例においても犁刃板45と脛47とによつてかこわれた鳩尾状のプラスチツク部分を装着する部分が凹陥部となつていることが認められる。したがつて成立に争いのない甲第二号証(本件登録実用新案公報)を検討してみても、その鳩尾状の凹陥部との間に格別の構成上の違いがあるものとは認めがたい。
また甲第三号証によると、引用例の説明には「そのようなテフロンは、ボルトの如き在来の固定手段によつて固定することができる。」旨の記載があるので、プラスチツク部分はボルト止めをされるようないわゆる板としての厚さを十分にもつものをも含むものと認められる。したがつて甲第二号証を検討してみても引用例のプラスチツク部分を本件考案のプラスチツク板に相当するものとした審決の認定に誤りはない。
二、作用効果の顕著性について
原告は本件考案は凹陥部を予め設定し、これにプラスチツク板を嵌合させることを構成の独自性として主張するけれども、実用新案は物品の形状・構造または組合せにかかる考案に限られるから、このような製作工程を本件考案の要旨とすることはできない。
原告は本件考案には構造工程を簡略化した作用効果の顕著性があると主張するけれども、甲第二号証を検討しても本件考案の詳細な説明にこのような作用効果の記載は見出すことができない。のみならず、本件考案においてもプラスチツク板を鋲着またはピン止めしなければならないから、この点において引用例と格段の差異は認められない。原告の主張は理由がない。
三、結論
したがつて、本件審決には原告らの主張するような認定の誤りはないから、原告らの本訴請求は失当として棄却する。
〔編註〕 本件における登録実用新案の要旨は左のとおりである。
基板1の両側縁に切断刃2を形成するとともに切断刃で囲まれた鳩尾状の凹陥部3を構成しその凹陥部にこれと一致する合成樹脂などからなるプラスチツク板4を密接嵌合し刃先面と同一平面とし両者を鋲着またはピン止めして一体とした耕耘用犁先金