大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(う)1467号 判決

被告人 森田庄市

〔抄 録〕

記録によれば、原審裁判所は第三回公判において、交通事件原票(告知書番号四七九、八四八)及び司法巡査吉田芳明作成の速度違反取締り実施結果報告書をいずれも刑訴法三二三条二号書面として採用の決定をし、証拠調を行っていることを認め得る。刑訴法三二三条は同法三二〇条の定める伝聞証拠禁止の例外の一として、書面自体に高度の信用性を認め得るものに証拠能力を認めた規定と解され、その二号は商業帳簿、航海日誌を例示し、その他業務の通常の過程において作成された書面と規定している。即ち同二号書面といい得るためには、単に業務上作成された書面というのみでは足らず、商業帳簿が日日の取引等営業に関する事項一切を、また航海日誌が航海中の船舶に関する日日の出来事を、継続的に整然と明瞭に記載されることを要すると同様に、業務の行われる通常の過程において作成されて、その内容の信用性につき商業帳簿、航海日誌に比肩し得る程度の情況保障の認められる書面でなければならない。右交通事件原票中被告人の供述書の部分を除くその余、及び速度違反取締り実施結果報告書は、いずれも警察官による事実報告書であり警察官の職務上作成された書面ではあるが、同法三二三条二号の書面に該るとは認め難い。また、これらが同条一号所定の書面に該当しないことも明らかであり、一件記録に徴し、これらが同条三号にいわゆる特に信用すべき情況の下に作成された書面とも認められない。(最高裁昭和二四年四月二五日第二小法廷決定・裁判集刑事九号四四七ページ参照)従って、原審が被告人の証拠とすることについての同意がないのに、右両書面を同法条二号の書面として取調べ、これを罪証に供したことは、訴訟手続の法令に違反したものというべく、両書面を除いた原判決の挙示する証拠によって原判示事実を認定することは困難であるから、右違反が判決に影響を及ぼすことは明らかである。

(平野 寺内 和田)

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