大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(う)179号 判決

被告人 佐久間孝平

〔抄 録〕

先ず、職権を以て調査してみるのに、原判決は、被告人は、示談金名義で金員を喝取しようと企て、原判示日時ごろ、原判示深谷晃弘に対し、電話で原判示の事実を申し向け、さらに、原判示日時ごろ、原判示静岡県加茂郡東伊豆町奈良本九六四番地の一伊豆旅行サービス協会事務所に於て、同人に対し、原判示の言辞を申し向けて金員を要求し、同人をして、もし、この要求に応じなければ、何らかの危害を加えられるかも知れないとい怖させたが、同人らが警察官に届け出たため、その目的を遂げなかったものである、との事実を認定判示して、被告人の原判示所為を恐喝未遂の罪に問擬しているのである。然し、原判決は、その恐喝の内容として、被告人が原判示深谷晃弘に対し、電話又は口頭により原判示の各言辞を申し向け、それが恐喝にあたり、同人をして被告人の要求に応じなければ、何らかの危害を加えられるかも知れないとい怖させたというだけであって、果して右被告人の告知にかかる害悪の内容たるや何人が誰に対して、いかなる危害を加えるというのであるか原判文上とうていこれを知ることを得ないものというべく、恐喝未遂の罪の事実摘示として被告人が右深谷晃弘に対し告知したところが人を畏怖せしめるに足りる害悪の告知にあたるものかどうかまたその告知されたことにより同人がいかなる畏怖心を生じたものであるかについて判示してないものといわざるを得ず、原判決はこの点において被告人に対する罪となるべき事実を判示するについて、理由不備の違法があるものというべく、原判決は控訴趣意に対する判断をまつまでもなく、とうてい破棄を免れない。

(荒川 谷口正 時国)

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