東京高等裁判所 昭和48年(う)2468号 判決
被告人 河合輝雄
〔抄 録〕
右の原裁判所の審理経過によると、原裁判所は訴因で指摘されていない運転台左座席に被告人の妻が同乗した事実を認定し、この事実をも考慮に加えたうえ、訴因変更の手続を経ず、被告人側にこの点の防禦をつくさせずに、被告人が左折時において併進していた斉藤昭の運転する自動二輪車(以下斉藤車という。)の安全確認をすべき業務上の注意義務を怠つたことを認定判示したのであるが、このように訴因にない新たな事実を認定し、これにもとずき被告人が自らすべき左側併進車の安全確認注意義務違反にとどまらず、被告人が同乗した妻を介して果すべき右の注意義務違反を加えて認定判示するには、訴因変更手続を経て、被告人に新たな事実の存否等について防禦をつくさせるのが相当である。したがって、原裁判所が右の措置をとらなかったのは、判決に影響を及ぼすことが明らかな訴訟手続上の法令違反をしたものといわなければならない。
(田原 吉沢 小泉)