大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(ネ)1738号 判決

四、ところで、被控訴人は、仮に控訴会社の山中工芸に対する債権が存在したとしても、控訴会社は前記抵当権については仮登記のまま本登記請求もせずに放置することにより放棄と同様の状態にあり、もしくは仮登記の本登記をなす条件を具備し得なくなったことにより被控訴人にその抵当権の存在を対抗し得なくなったと主張するので、この点について判断すると、競落許可決定の確定するときは競売法第二条第二項により競売の目的物件上の抵当権は消滅し、競落人の取得した権利の移転の登記と同時に裁判所の嘱託に基づき競買人の引受けない登記簿上の負担記入は抹消される。控訴人の抵当権の仮登記もこのような経緯によって、現在抹消されていることは明らかである。被控訴人の抵当権の仮登記についても、このことは同様である。

そして配当にあたっては、かかる抵当権設定の仮登記権利者に対しては、後日本登記をすればその仮登記の順位においてその抵当権を第三者に対抗しうる地位にあるものとして、後日本登記をすれば第三者に対抗し得たであろう抵当権およびその順位によってその配当表を作成し、その配当額は民事訴訟法第六三〇条第三項の規定を類推してこれを供託し、後日その仮登記権者が本登記をするに必要な条件を具備するに至ったとき、これに交付するべきものと解されるところ、被控訴人主張のように単に仮登記のままに放置したというだけで控訴会社が抵当権を放棄したものとなし得ないことは明らかであって、ほかに右抵当権の消滅したことにつき主張立証がない以上、本件配当表に記載し配当することは正当というほかはない。

さらに、被控訴人の控訴会社が仮登記の本登記をなす条件を具備していないことについての主張を考えると、かかる主張は配当金の交付手続に関わりこそすれ、配当異議訴訟の対象たる配当表に記載された債権の存否抵当権の優先権の存否等とは直接関係がないと解されるから、主張自体理由のないものというべきである。

(石田哲 小林定 野田)

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