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東京高等裁判所 昭和48年(ネ)2088号 判決

一 請求の原因一(控訴人の特許権)及び二(本件特許発明の構成要件)の事実は当事者間に争いがない。

二 本件特許発明の特徴

(一) 本件特許出願当時におけるこんにやくの製造方法とこんにやく製造工程中「アルカリ化操作」の困難性

成立に争いのない甲第九号証(伊藤勝彦「鑑定書」)、第一〇号証の一、二(朝倉書店発行「大有機化学第二〇巻、天然高分子化合物Ⅱ」)、第一二号証の一ないし三(共立出版株式会社発行「化学大辞典4」)、第一五号証の一ないし四(蒟蒻新聞社編「再編蒟蒻宝典」)、第一九号証の一ないし四(岩波理化学辞典第3版)、第二二号証の一ないし三(平凡社発行「世界大百科事典」第一七巻)及び第二三号証の一ないし三(食品製造ハンドブツク刊行会編「食品製造ハンドブツク」)、こんにやく製造に使用される攪拌機(いわゆる「練り機」)の写真であることに争いがなく、当審における控訴人本人尋問の結果によつてその攪拌機が本件特許出願当時使用されていたことの認められる甲第二七号証、原審証人伊藤勝彦の証言並びに当審における控訴人本人尋問の結果によれば、本件特許出願当時、東京地方におけるこんにやくの製造方法として控訴人主張(請求の原因三(一)1、2)のようなものがあつたこと、このこんにやく製造工程中、最も大切なものは「アルカリ化操作」の工程であつて、石灰水とこんにやく糊とを均一に混合させることが必要であり、その操作を誤ると製品に弾力がなくなつたり、固まりにくかつたりし、結局製品の良否はアルカリ化の適否によつて決するものであり、このアルカリ化操作が難しいものであつたことが認められる。

(二) 本件特許発明の作用効果(本件特許発明が解決した課題)

まず、本件特許発明の目的については、成立に争いのない甲第二号証(本件特許公報)によれば、その明細書に「その目的とするところは蒟蒻粉に練り作用を与えることなく、攪拌作用のみにて石灰水を均一に混合し、石灰水混合蒟蒻材料を歯車ポンプにて吸引して移送筒内における滞積時間を短かく一定となして最適条件で成形子に送り出し成形後茹でて仕上げて製品全体に平均せる弾力を与えられた糸蒟蒻を操作簡単にして連続自動的に絞り出す装置を得るにある。」(本件特許公報一頁左欄一六行―二四行)と記載されていることが認められ、結局その目的は、前記アルカリ化操作の困難性の解決のために、「こんにやく材料に練り作用を与えることなく攪拌作用のみで石灰水を均一に混合し、石灰水を混合したこんにやく材料を吸引して移送筒内を短時間内に連続的に通過させることにより、平均した弾力のある糸こんにやくを得られる装置を提供する」ことにあるということができる。

次に、その作用効果について検討すると、前掲甲第二号証及び成立に争いのない乙第三号証(意見書)によれば、その明細書に「羽根を設けた平行せる転軸を同一方向に回転することにより蒟蒻材料に練り作用を与えることなく羽根にて攪拌作用のみを与えて石灰水を蒟蒻材料に均一に分布混合すると共に、石灰水を混合せる蒟蒻材料を歯車ポンプにて急速に吸引して蒟蒻材料を平均せる短時間内に蒟蒻成形子に移送することができるから、品質均一にして弾力ある糸蒟蒻を高速連続的に製造できる工業的効果がある。」(本件特許公報二頁左欄一七行―同右欄五行)と記載されていること、特許庁の審査の過程で控訴人の提出した意見書には、「(1)本願は歯車(19)と(20)の咬合回転によりホツパー(1)、移送筒(2)及び材料は吐出管(18)を通過する材料は押出しに依らず真空吸引作用に移送される。この結果材料はこんにやく製造に於て石灰水注入後嫌われている練られ操作を与えない。(2)本願の移送筒(2)内に於ける転軸(3)及び(9)は平行して同一方向回転運動をなし、之等の転軸の外周に植設した羽根は材料送り作用(練り作用)をせず互に櫛歯状に咬み合つて材料を瞬間的に攪拌混合する作用(切断する作用)だけである。この結果本発明は練り作用から生ずる材料の弾力消失を防止する。」(二頁二行―一三行)と、昭和八年実用新案出願公告第一二一〇号公報に記載の装置との対比のうえで、その作用効果の特徴とすべき点を述べていることが認められる。

(三) 昭和八年実用新案出願公告第一二一〇号の実用新案と本件特許発明との比較

昭和八年実用新案出願公告第一二一〇号公報記載のこんにやく製造機が「筒体(1)内に螺翼(2)を設けこれを回転させてこんにやく糊を押送し、右筒体の先端には多数の細孔(11、12)を列穿した二枚の円板(9、10)が設けられている構造」を有し、また「螺翼(2)によりこんにやく糊を押送し、石灰水を添加し、混捏杆(13、14)で混捏した後、二枚の円板(9、10)の細孔(11、12)より圧出する作用」を有するものであることは、当事者間に争いがない。右事実に前記(二)を照らすと、本件特許発明は、右公報記載の先行技術に対して、回転螺翼(2)による押送に代えて歯車ポンプの吸引力を利用し、また螺翼(2)及び混捏杆(13、14)によるこんにやく材料の攪拌作用に代えて互いに櫛歯状に咬み合う羽根を有する二本の回転軸を平行に設け、しかもこの二軸を同一方向に回転するような攪拌作用を利用することにより、こんにやく材料の流れを均一かつ迅速にするとともに、攪拌作用を瞬間的に行うことにより、品質が均一で弾力のあるこんにやくを高速連続的に製造できるようにした点にその作用効果上の特徴があるものと解される。

(四) 本件特許発明の明細書における「練り作用」と「攪拌作用」の技術的意義

本件特許発明の作用効果を解明するためには、本件特許発明でいう「練り作用」とはいかなる作用を意味するのかを明らかにする必要があるので、この点についてさらに考察する。

成立に争いのない乙第一一号証の一ないし三(大槻文彦著「新言海」)によれば、一般に「練る」という言葉の意味は「こねまぜてねばらせる」であることが認められるから、「練り作用」とは、通常は「こねまぜてねばりを出させる作用」と解されるのであるが、この場合「ねばりの出る」というのは、「こねまぜる」操作の結果もたらされる現象であり、この現象はその材料自体の性質に起因するものであるから、「練り作用」をその機械的操作の面からとらえれば、「こねまぜる」こと、すなわち「攪拌する作用」と同一の操作ということになるであろう。

ところが、前掲甲第二号証によれば、本件特許発明の明細書には、「練り作用を与えることなく、攪拌作用のみにて石灰水を均一に混合し」(本件特許公報一頁左欄一七行―一八行)、「練り作用を与えることなく羽根にて攪拌作用のみを与えて石灰水を蒟蒻材料に均一に分布混合する」(同二頁左欄一八行―二〇行)との記載があることが認められ、これらの記載からすると、ここでいう「練り作用」とは通常の意味での「練り作用」とは異なる意味で用いられているといわなければならず、さらに前掲乙第三号証によれば、控訴人の提出した意見書には、「石灰水注入後嫌われている練られ操作を与えない」(三頁五行―六行)、「羽根は材料送り作用(練り作用)をせず互に櫛歯状に咬み合つて材料を瞬間的に攪拌混合する作用(切断する作用)だけである。この結果本発明は練り作用から生ずる材料の弾力消失を防止する」(三頁九行―一三行)と記載されていることが認められ、これらの記載からすると、本件特許発明でいう「練り作用」は、単なる攪拌作用に止まらず、材料送り作用を伴う操作であつて、しかも石灰水注入後避けなければならないこんにやく材料の弾力消失をもたらすような作用を指していると考えられるのであり、しかも右意見書で述べていることは、本件特許発明の先行技術として引用された昭和八年実用新案出願公告第一二一〇号公報記載の装置と具体的に対比したうえで、その作用効果の優れている点を強調しているものであるから、石灰水注入後避けなければならないこんにやく材料の弾力消失をもたらす作用とは、右公報に見られるように石灰水を注入されたこんにやく材料がその流れに停滞があるにもかかわらずこれを押送し続け、石灰水との反応により固まり始めた材料をさらに攪拌する作用を意味すると解される。

してみると、本件特許発明でいう「練り作用」とは、「こんにやく糊に石灰水を注入した後、これが成形されるまでの間において、石灰水とこんにやく糊との間の化学変化により凝固した状態となつた材料を機械的に攪拌すること」を意味するといえよう。

なお、この「練り作用」について被控訴人主張のように単に「材料が混合されながら送り作用が行われること」と解したならば、控訴人の意見書でいう「練り作用が石灰水注入後に嫌われる作用である」とか「練り作用が蒟蒻材料の弾力消失の原因になる」ということが不可解となるから、そのように解することはできない。

三 請求の原因四(被控訴人の製品の構造)及び五(本件物件の構成要素)の事実は、当事者間に争いがない。

四 本件物件と本件特許発明との比較

(一) 本件物件が、被控訴人が「園式連続蒟蒻白滝製造機」として製造販売してきたものであり、糸こんにやく(白滝)及び板こんにやく(角こんにやく)のいずれをも連続的に製造することのできる機械である点において、本件特許発明の「自動蒟蒻絞り出機」と変りがないことは、当事者間に争いがない。

(二) 本件物件の構成要素(請求の原因五)と本件特許発明の構成要件(請求の原因二)とを比較するに、本件物件の構成要素(イ)´(ハ)´(ニ)´(ホ)´は、本件特許発明の構成要件(イ)(ハ)(ニ)(ホ)とそれぞれ同一であり、(このことは、当事者間に争いがない。)、その相違点は次の二点である。

A 本件特許発明が、「ホツパーの出口に接続した移送筒内に、互いに櫛歯状に咬み合わせるようにした羽根を具え、平行して同一方向に回転するよう設けた転軸を収容する」(構成要件(ロ))のに対し、本件物件は、「移送管(105)を介して上筒(102)の他端に接続した下筒(2)に、互いに櫛歯状に咬み合わせるようにした羽根(6)(7)を具え、平行して異方向に回転するように設けた回転軸(8)(9)を収容する」(構成要素(ロ)´´)ものであること。

B 本件物件には、「ホツパー(1)の出口に上筒(101)の一端を接続し、その他端において上筒(102)の一端に連通する一対の平行な上筒(101)(102)内に、複数の羽根(103)を長手方向に沿つて斜めに設けた回転軸(104)を収容」(構成要素(ロ)´)しているのに対し、本件特許発明にはこのような構造のものがないこと。

(三) 本件特許発明の構成要件(ロ)と本件物件の構造(ロ)´´との対比(相違点A)

1 前記Aの本件特許発明の構成要件(ロ)と本件物件の構造(ロ)´´との相違は、

(a) (ロ)においては移送筒がホツパーの出口に直接接続しているのに対し、(ロ)´´においては下筒(2)((ロ)の移送筒に相当する。)が移送管(105)を介して上筒(102)の他端に接続していること。

(b) 羽根を植設した平行な二軸の回転が、(ロ)においては同一方向であるのに対し、(ロ)´´においては異方向であること。に分けて考えることができる。

2 まず、右(a)の相違についてみるに、(ロ)´´においては、こんにやく糊はホツパー(1)から上筒(101)、上筒(102)、移送管(105)を経て下筒(2)内に送られて来るのであつて、これが一対の上筒(101)(102)において羽根(103)を有する回転軸(104)の回転により攪拌されるのであるから、この間においてこんにやく材料は水とよく混合されるであろうことは考えられる。

しかしながら、これはこんにやく材料に石灰水を加えて反応させる前の段階の操作であつて、このアルカリ化操作と同時に行われるものではないから、右構成上の相違は、アルカリ化操作の前段階の操作を行うに必要な構成を単に付加したに過ぎず、本件特許発明の(ロ)において、このような前段階の攪拌機構がなければアルカリ化操作が行いえないものとも考えられない(こんにやく粉を水に十分に溶解させることが必要であるならば、ホツパーに入れる前にこのような操作を行つておけば足りることであつて、特にホツパーと石灰水注入部との間にこの攪拌混合機構を設ける必要はない。したがつて、本件物件が本件特許発明の構成要件(ロ)を充足しているかどうかを検討するに際しては、本件物件の(ロ)´の構造、すなわち前記Bの相違点を考慮する必要はない。)ので、右構成上の相違は、単に移送筒ないし下筒がホツパーに直接連結しているか間接的に連結しているかの差異に過ぎないものである。

3 次いで、前記(b)の相違、すなわち羽根を植設した平行な二軸の回転が同一方向か異方向かの相違が作用効果上どのような差異をもたらすかを検討する。

二軸の回転速度は同一方向回転の場合も異方向回転の場合も同じとしたうえで、二軸の回転方向の相違に基づく作用効果を比較してみると、

二軸の回転が同一方向の場合は、各軸の羽根が櫛歯状に咬み合つて通過する位置におけるその羽根の移動方向は互いに反対方向となるから、その間の相対速度は二倍となり、また各羽根間には強力な剪断力が働らくことになるから、こんにやく材料は移送筒内で激しく衝突し合つて攪拌され、かつ剪断作用を受けることになるが、

二軸の回転が異方向の場合は、各軸の羽根の右位置における移動方向は同一となるため、その間の相対速度は零となつて、下筒内におけるこんにやく材料の衝突は緩やかであり、かつ剪断力は働らかないことになる。

したがつて、二軸の回転方向の相違によつて、同一方向回転の場合は強力な攪拌作用が行われ、剪断力が強く働くのに対し、異方向回転の場合は攪拌作用も前者と比べて弱く、また剪断力も作用しないという差異が生ずることになる。

ところで、本件特許発明の目的、効果については、こんにやく材料のアルカリ化工程において、これを高速連続的に移送せしめその間に石灰水との混合を瞬間的に行わせることにより、こんにやく材料の弾力消失を防止することにあることは、既に述べたとおりであるから、本件特許発明が単に櫛歯状に咬み合う羽根を植設した二軸を向い合わせて回転するに止まらず、さらにこれを同一方向に回転させるように特定することにより瞬間的に石灰水との混合を行うことを意図しているものというべきである。

また剪断力の有無について述べると、前掲甲第九号証、第一〇号証の一、二、第一二号証の一ないし三、第一九号証の一ないし四及び第二三号証の一ないし三によれば、こんにやく糊が粘性の大きい材料であることが認められ、このような粘性の大きい材料の攪拌混合に当つては特に剪断力が必要とされるものであることは、前掲甲第二二号証の二(四八三頁中欄)によつて認められるところであり、かつ、前掲甲第二号証によれば、本件特許発明の明細書においても、この作用が必要であることを示すものとして、特に「切断的に攪拌する傾斜羽根6及び7をそれぞれ互に櫛歯状に咬み合わせるよう……」(本件特許公報一頁左欄三三行―三四行)との記載があることが認められ、また、二(二)で述べたとおり、控訴人が提出した意見書においても、「互に櫛歯状に咬み合つて材料を瞬間的に攪拌混合する作用(切断する作用)だけである」(三頁一〇行―一二行)と述べているのであつて、攪拌に当つて剪断力が作用することを必須要件としていることがうかがわれるのであつて、このことは、取りも直さず、その二軸の回転が同一方向でなければならないことを示しているのである。

しかもこの点については、平行する二軸の回転が同一方向のものも異方向のものもともに本件特許出願当時に周知の技術であつた(この点については当事者間に争いがない。)にもかかわらず、控訴人自らその特許請求の範囲に「同一方向に回転する」という手段を明記し、その回転方向について、あえて同一方向に限定している以上、二軸の回転を同一方向とするという事項が、本件特許発明の重要な構成要件であることを裏付けているものである。

なお、被控訴人は、本件特許発明でいう「練り作用」を「材料を攪拌しながら送る作用」であると定義したうえで二軸の回転が同一方向か異方向かの差異について、同一方向である本件特許発明の(ロ)の構成では右練り作用が行われないのに対し、異方向である本件物件の(ロ)´´の構成はこの練り作用を有するから、明らかに作用効果が相違すると主張するが、本件特許発明における「練り作用」が単に被控訴人の主張するような作用を意味するものでないことは既に述べたとおりであり、仮にその意味が被控訴人の主張するとおりであつたならば、二軸の回転が同一方向の場合は送り出す作用がなく、異方向の場合は送り出す作用があるということになるが、このように単に回転方向の相違によつて送り作用があつたりなかつたりするようなことは技術常識上到底考えられないことである。また、被控訴人が右主張の根拠としている、成立に争いのない乙第九号証(実用新案出願公告昭四五―三一四三三号公報)の記載についてみても、そこに記載されている「練り作用」とは本件特許発明でいう「練り作用」とは全く異なるものであつて、通常の意味の練り作用、すなわち「攪拌してねばりを出させる作用」を指していると解されるのであり、このように解さなければ、同号証中の「一対の攪拌筒において充分に練られたこんにやく材料を」(一欄二八行―二九行)、「本練り用の混合筒に送り、ここにおいてさらに一層充分均等に練つた後」(一欄三〇行―三一行)、「羽根板5の回転によつて練られつつ先端部の通孔4方向に送られる」(二欄三四行―三五行)、「ホツパー1にこんにやく材料を練る一対の攪拌筒2、3の一方を連結し、ここにおいてこんにやく材料を充分に予備練りした後、石灰水を供給して更に本練りするよう混合筒9を攪拌筒3の下側に連設して」(三欄一一行―一五行)との記載内容が理解できないものとなる(たとえば、「予備練り」「本練り」がそれぞれ「予備送り」「本送り」を意味するものとなり、こんにやく材料の流れは連続的であるはずのものについて、その供給が予備送りと本送りとがあるという奇妙なことになるし、また「練られつつ……送られる」との表現も意味の分らないことになるからである。)し、さらに、同号証中の一対の回転軸10、10の異方向回転により送り作用がもたらされるならば、歯車ポンプ12でこんにやく材料を送る必要がないにもかかわらず、あえてこれを設けているところからみても、同号証における「練り作用」は、本件特許発明と異なり、通常の意味で用いられていると解すべきであるから、同号証の記載を根拠として(ロ)と(ロ)´´との間に練り作用の有無という作用効果の差異を生ずるということのできないものであり、被控訴人の右主張は採用の限りでない。

以上のとおり、(ロ)と(ロ)´´との構成上の相違は、本件特許発明の目的、効果を参酌すれば、両者が置換可能性を有し当業者の任意に取捨選択可能な技術に属するということのできないものであり、したがつて、均等ということのできないものであるから、本件物件は本件特許発明の(ロ)の構成を有しないものといわざるをえない。

(四) 以上により、本件物件は、本件特許発明の(ロ)の構成要件を充足しておらず、本件特許発明の作用効果のすべてを有するということのできないものであるから、その技術的範囲に属しないものというべきである。

五 よつて、被控訴人が控訴人の本件特許権を侵害したことを前提とする損害賠償の本訴請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

六 そうすると、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとする。

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