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東京高等裁判所 昭和48年(ネ)2189号 判決 1975年1月30日

控訴人

秋葉勝

右法定代理人不在者

財産管理人

秋葉歌子

右訴訟代理人

高島謙一

被控訴人

長岡義昌

右訴訟代理人

竹下甫

ほか一名

当事者参加人兼訴訟引受人

(以下「当事者参加人」という。)

日桂工業株式会社

右訴訟代理人

圓谷孝男

主文

本件控訴を棄却する。

ただし、原判決主文第一項は被控訴人の請求の減縮により「控訴人は被控訴人に対し昭和四三年五月一日から昭和四七年四月七日まで一か月金二、〇〇〇円の割合による金員の支払いをせよ。」に改められる。

当事者参加人は被控訴人に対し別紙第二目録記載の建物を収去して別紙第一目録記載の土地を明け渡し、かつ昭和四八年九月一八日から右土地明渡済みまで一か月金二、〇〇〇円の割合による金員の支払いをせよ。

当事者参加人の別紙第二目録記載の建物が当事者参加人の所有であることの確認を求める訴えを却下し、その余の請求を棄却する。

訴訟の総費用のうち、参加により生じた費用は当事者参加人の負担とし、その余の費用は控訴人の負担とする。

この判決は第二項にかぎり仮りに執行することができる。

事実《省略》

(注・当事者参加人は、参加請求につき、「当事者参加人が本件建物を所有すること並びに本件土地の賃借権を有することを確認する。」との判決を求めた)

理由

<前略>

五参加請求について

(1)  参加請求のうち、先ず本件建物が当事者参加人の所有あることの確認を求める部分につき、判断する。

当事者参加人が参加する訴訟は、被控訴人が本件土地を占有する者に対しその明渡しを求め、かつその占有によつて被控訴人が蒙つた賃料相当の損害金の支払いを求めるものであつて、その明渡しを求められた相手方においては本件土地につき賃借権に基づく占有権原を主張し、かつその占有権原の有無が訴訟の主要な争点となつているもので、本件建物の所有は右土地の占有の態様にすぎず同建物の所有が争われているものではない。当事者参加人は控訴人から本件土地占有を承継した訴外知久貞信からさらにその占有を承継し本件土地明渡訴訟における明渡義務を承継したものとして被控訴人の申立により本件土地明渡訴訟を引き受けた者であり、訴訟引受人として賃借権に基づく占有権原を主張しているものであつて、訴訟引受人としての当事者参加人と被控訴人との間においては当事者参加人が本件建物の所有者であることについては何らの争いはなく、控訴人においても当事者参加人の主張する右事実については不知をもつて争つているが、自己が既に本件建物の所有権を喪失していることは認めているのである。ところで、確認の訴は本件の場合、現に、当事者参加人の有する権利または法律的地位に危険または不安が存在し、これを除去するため被控訴人又は控訴人に対し確認判決を得ることが必要かつ適切な場合に限り許されるものであることは最高裁判所判例の趣旨とするところ、前示事実関係のもとにおいては、当事者参加人が本訴において既に被控訴人及び控訴人に対し本件土地賃借権の確認を求めている以上、更に本件建物の所有権確認を求めることは当事者参加人の有する権利または法律的地位に対する危険または不安を除去するため必要でもないし適切でもないというべきである。したがつて、本件建物の所有権確認の訴は確認の利益を欠き不適法として却下を免がれない。<以下、省略>

(久利馨 館忠彦 安井章)

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