東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)148号 判決
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【判旨】
二1 (手続的な違法の主張について)
原告は、審決が本願発明における「割出し指状物を離脱させずにつめ車の回転を防止するためつめを車から上昇するように配置」する構成により、時間整定時に振動要素に加わる負荷の増大を防止できるとの効果を収める反面、その構成が「別の新しいしかも相当大きな負荷」を同時に振動要素に加えることになり、結局、総体として、右構成は格別の効果がないとしたことにつき、その「別の新しいしかも相当大きな負荷」については、出願拒絶の理由の通知を受けていないから、右にもとづき審判請求を排斥することは許されないと主張する。
出願拒絶理由の通知に原告指摘の事項が明示されていないことは、被告らの明らかに争わないところである。しかしながら、<証拠>によれば、本件においては、出願拒絶の査定も審決もともに、本願発明は、特許出願公告昭三九―一九八五七号の特許公報(甲第三号証、引用例)にもとづいて容易に発明をすることができたものとして、特許法第二九条第二項の規定により特許を受けることができないとしており、これが出願拒絶の理由であること(もつとも、拒絶査定においては、右のほかに、さらに一つの刊行物が引用されていたが、そのことは、本件の判断を左右するものではない。)、原告主張の別の負荷は、本願発明と右引用例の発明との構成上の相違点の一つについての技術的評価を対比考究するにあたり、審決において追加的に説明された効果に過ぎないこと、右引用例は、原告に対し、出願拒絶の理由として適法に通知されていることが認められ、右は、特許法第四九条、第五〇条、第二九条第二項の規定により正当であるということができ、右負荷についての説明は、新たな査定の理由とは異なる拒絶の理由を附加したものとは解しえないことが明らかであるから、これをもつて、新たな出願拒絶の理由に当るものとする原告の主張は失当である。原告が、この点に関し、出願拒絶理由の通知についての規定の趣旨にもとづいてする主張も、また、その余の主張も、結局は、右負荷が通知されるべき出願拒絶の理由に当ることを前提にするものであるから、採用できない。
(荒木秀一 橋本攻 清野寛甫)