大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)5号 判決

(争いのない事実)

一、本件に関する特許庁における手続の経緯、本願商標および引用商標の各構成、各指定商品および登録ないし存続期間更新登録の各年月日ならびに本件審決理由の要点が、いずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。

(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決が本願商標と引用商標とは称呼上類似するとしたことをもつて判断を誤つた違法のものである旨主張するが、右主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、本願商標からは「リキセン」の称呼を生じ、引用商標からは「リキセー」の称呼をも生ずることは、原告の認めて争わないところであるところ、両者をその称呼において対比するに、両者は、前三音の「リキセ」を共通にし、語尾において、前者は撥音「ン」、後者は母音「エ」に通ずる余韻を有する長音「ー」という差異のあることが明らかであるが、「ン」は鼻音として弱音であるに対し長音「ー」は「セ」を発音したままの状態で伸ばす音であり、いずれも「セ」の音に吸収され明確に聴取しがたい関係にあるから、両者をそれぞれ一気に称呼するときは、両者は、全体の語韻、語調において、きわめて近似し、相紛らわしく、称呼上類似の商標というべきである。原告が挙示する登録例又は用語例は、いずれも具体的事情を異にするから、これをもつて、本件に関する右判断を左右すべき資料とはできないし、他に、これを覆えすに足る資料はない。

(むすび)

三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかない。

〔編註その一〕 本件における請求原因は左のとおりである。

原告訴訟代理人は、本訴請求の原因として、次のとおり述べた。

一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和四十二年五月九日、別紙記載のとおり線書体で「力泉」の漢字を縦書きし、その右側に「リキセン」の片仮名文字を振仮名してなる商標(以下「本願商標」という。)につき、商標法施行令第一条別表第一類化学品、薬剤および医療補助品を指定商品として、商標登録出願をしたところ、昭和四十四年十一月二十五日、拒絶査定を受けたので、昭和四十五年二月十三日、これに対する審判を請求し、同年審判第一、一五五号事件として審理されたが、昭和四十七年九月二十六日、「本件審判の請求は成り立たない。」旨の審決があり、その謄本は、同年十二月二十日、原告に送達された。

二 本件審決理由の要点

本願商標の構成、指定商品および登録出願日は前項記載のとおりであるところ、登録第三二五四七六号商標(以下「引用商標」という。)は別紙記載のとおりゴシツク体で「LIXE」の欧文字を横書きし、その中央下部に「リキセー」の片仮名文字を縦書きしてなり、旧商標法施行規則(大正十年農商務省令第三十六号)第十五条第一類化学品、薬剤および医療補助品を指定商品として、昭和十四年四月十日登録出願、同年十二月十八日登録され、昭和三十四年十二月二十五日、商標権存続期間更新の登録がされたものであるが、本願商標からは、その漢字および片仮名文字に相応して「リキセン」の称呼を生ずることは明らかであり、引用商標からは、片仮名文字部分に相応して「リキセー」の称呼をも生ずるとするのが相当であり、右各称呼は、「リ」、「キ」、「セ」の三音を共通にし、しかも、その異なるところの語尾音においても、前者は撥音(ン)、後者は長音(ー)であり、前者の撥音は鼻音としてきわめて弱音であり、後者の長音は「セ」を発音したままの状態で伸ばす音であるから、いずれも「セ」の音に吸収され、わずかに余韻が残つているかのように感じられる程度にすぎないから、両者をそれぞれ一気に称呼する場合には、全体の語韻、語調は紛らわしく、ことに口頭、電話等称呼による取引の場合には、彼此聴き誤るおそれがある程度に類似する商標であるとするのが相当である。したがつて、両商標は、外観および観念の類否を論ずるまでもなく、称呼において類似する商標であり、かつ、その指定商品においても互いに牴触することは明らかであるから、本願商標は商標法第四条第一項第十一号の規定に該当するものとして、登録を拒絶すべきである。

〔編註その二〕本件に関する商標は左のとおりである。

別紙

本願商標

<省略>

引用商標

<省略>

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