東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)58号 判決
一、原告主張の請求の原因第一項から第三項までの事実は、当事者間に争いがない。
二、そこで、原告主張の取消事由(二)について判断する。
まず、印刷と感圧性粘着剤を施す順序について、本願発明が基材となるフイルムの一面に感圧性粘着剤の層が設けられ他面に離型剤の層が設けられている感圧性粘着テープの離型剤の層上に印刷を施すのに対し、引用発明では、支持体面に仮着状態になるように印刷し、次に該支持体の他面に感圧性粘着剤を塗布する点において、両者間その工程上の差異があることは,当事者間に争いがない。
そして、成立に争いのない甲第二号証、同第五号証の四、同第六号証によれば、引用発明のように、印刷がなされた後に感圧性粘着剤が塗布される場合には、印刷が仮着状態でなされているために、感圧性粘着剤を塗布するにあたつて、空気などで基材フイルムを浮かせ、印刷された面をどこにも接触させないようにする特別の装置を用いなければ、印刷のはがれ、汚損などが生じ易いが、感圧性粘着剤塗布の後に印刷を行いその直後に芯体に捲重する本願発明では、このような弊害を生じないことが認められる。してみれば、本願発明は、印刷のはがれ、汚損などを防止できるという引用発明からは期待し得ない重要な効果を奏するものであるということができる。
したがつて、本件審決が印刷を基材フイルムに感圧性粘着剤層を設けた後に行うか、それとも設ける前に行うかは当業者が適宜変更実施しうるところであつて、これにより効果上格別の差異が生ずるものとは認められないから、設計変更の域を出ないとしたのはその判断に誤りがあり、違法であるといわなければならない。
三、以上のとおりであるから、原告主張のその余の取消事由について判断するまでもなく、本件審決は取消をまぬがれない。よつて、原告の本訴請求は正当であるから認容する。