大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(行ケ)74号 判決

事実及び理由

一、構成の新規性について

原告らの主張するように、本願考案のそなえる「熱風噴気枠・熱風排気枠・籾流路等に対し、その中央部で直交するように受樋・供給樋を配設した」構成および「複数台の乾燥装置を併設可能にした」構成が、各引用例に欠けることは、争いがなく、審決もこれを指摘するところである。そこで原告らの具体的な取消事由の主張について検討する。

二、複数台の併設について

(一)、成立に争いない甲第二号証(本願補正明細書)によれば、従来大容量の穀物を乾燥する場合には、乾燥機を複数台設置して作業を行つていたことが認められる。

(二)、ところで第一引用例において、揚送装置の一方側に複数個の分室が連設され、一つの揚送装置によつて多数の連設した乾燥室に穀物を供給・排除する構成が示されている点は争いがない。さらに成立に争いない甲第三号証(第一引用例)を検討すると、この構成により、乾燥機を小型に構成して多量の同一種類の穀物の乾燥作業を適切にすることができるほか、異種類の穀物ないし所有者の異なる穀物を各別に収容して、同時に乾燥することができ、複数個の各乾燥室を独立に、しかも一つの揚送装置によつて使用する方法が示されている。

(三)、そして複数個の装置に、同じ原材料を供給し、製品等を搬出するため、それらの目的ごとに一つの搬送路を設置して、各装置と搬送路を連絡すること、また装置の位置に応じて搬送路の長さを増減することが周知技術であることは、争いがない。

以上(一)から(三)までの事実を斟酌すると、複数の乾燥室をそれぞれ別体の乾燥機とすること、それらの供給、搬出用の螺旋移送体の搬送路(受樋・供給樋)をそれぞれ連通状にして連絡させること、そして揚送装置を一つに省略することは、極めて容易に考案できることであると考えられる。それによつて一人の操作による運転を可能にすることも、当然予想される効果であつて、顕著なものということはできない。従つてこの点に関し、容易推考として進歩性を否定した審決の判断に誤りはない。

三、搬送路直交について

前示甲第二、三号証および成立に争いのない甲第四号証(第二引用例)を検討すると、第一引用例の供給樋・排出樋は被乾燥物収容室、通風室の長手方向と同一方向に貫通していて、長手方向に対して直交して設けることの示唆はないし、第二引用例には供給樋・受樋に関する記載はないことが認められる。

しかしながら、本願考案のように、第二引用例に示される乾燥装置を用いて循環式とする場合には、供給樋・受樋は穀物の供給排出の目的にのみ配設されるものであるから、熱風噴気枠・熱風排気枠・籾流路等に対し同方向にするか、直交にするかは、枠の形態・長短また枠数もしくはこれに伴う籾流路のあり方によつて適宜設計できる事項と考えられる。また本願考案において特に枠籾流路の形態・数などについて限定してはいないから、たとえ噴気枠・排気枠の長手方向に受樋・供給樋を直交するようにしたからといつて、乾燥機が必然的に横長になるとはいえない。またかりに受樋・供給樋が短かくなり、乾燥機が横長になつたとしても、断面積が同じとすれば、一個の場合も併設の場合も、長手方向と同方向に受樋・供給樋を設けたものと据付面積は同一であり、設置場所如何によつては、どちらが都合がよいとも断じがたい。

また乾燥作業中の籾の破砕は、被告のいうように多くの原因が考えられる。樋内面とスクリユー表面で形成される供給樋・受樋の空間の形状は移送中変化しないから、これによる破砕量はごく僅かのものと思われ、スクリユーコンベアの短かくなつた程度に応じて減少することも当然予測できる範囲の効果であるということができる。また本願考案の構成から必然的に供給樋・受樋が短かくなるものともいえないことは前示のとおりであり、穀物のふくむ水分に応じての循環の回数、また量に応じての併設の有無、などにより、穀物当りの搬送の長短も定めがたい。したがつて、受樋・供給樋の配設の構成に特段の作用効果があるものとは認めがたい。

四、結論

そうすると、本件審決には、原告らの主張するような事実認定の誤りはないから、原告らの本訴請求は理由がなく、棄却せざるを得ない。

〔編註〕本願考案の要旨は左のとおりである。

熱風噴気枠と熱風排気枠とを縦設することにより、噴気枠と排気枠との間に籾流路を胴内に縦方向に併設し、籾が前記籾流路を流下する過程で熱風噴気枠より噴出する熱風を浴びて強制乾燥する通風乾燥部を備えた循環乾燥装置において、該装置の上下位置に熱風噴気枠、熱風排気枠および籾流路の長手方向(平面的にみて)に対し、その中央部で直交するように受樋および供給樋を配設して、その一端を乾燥装置の側方に附設した揚送装置に連通せしめるとともに、該乾燥装置に附設した揚送装置の対向側部には、揚送装置を備えない複数台の乾燥装置を適宜併設できるようにし、これら装置の受樋および供給樋はたがいに連通状ならしめた構造

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