大判例

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東京高等裁判所 昭和48年(行コ)50号 判決

よって按ずるに、まず、企業合理化促進法第三条および同法施行規則第四条に基き、試験研究を行う者に、主務大臣に対する補助金の交付を請求する権利があるか否かについて検討してみると、同法第三条は次のように規定する。すなわち、「主務大臣は、技術の向上を促進するため必要があると認めるときは、主務省令の定めるところにより、鉱工業等に関する技術の研究、工業化試験または新規の機械設備等の試作を奨励助長するため、試験研究を行う者に対し、予算の範囲内において補助金を交付し、または国の所有にかゝる機械設備等を国有財産法の定めるところにより貸与することができる」と規定する。これによれば、同法第三条は、主務大臣に対し、鉱工業等に関する工業化試験等を奨励助長するため、試験研究を行う者に対し、予算の範囲内において、その裁量で、補助金を交付することができる等の権限を与えたものであるにとどまり、右試験研究者に対し、主務大臣に対する補助金の交付等を請求する権利を認めたものとはいえないものと解するを相当とする。もっとも、同法施行規則第四条ないし第七条には、前記試験研究者の補助金交付の申請および主務大臣の右補助金交付の手続等が規定されているが、これは主務大臣が前記権限を実際に行使する際、その裁量処分を適正にするための基準を明らかにしたものであるにすぎないから、右施行規則の条項の存在を以て、前記試験研究者に補助金の交付等を請求する権利があるものとは解せられず、他に右請求権の存在することを認めた法令上の根拠も見当らない。そうとすれば、控訴人の本件補助金交付申請は、主務大臣である被控訴人通商産業大臣に前記職権の発動を促す行為であるにすぎず、被控訴人が右申請を排斥し補助金を交付しない旨の決定をしたとしても、それは控訴人の権利、義務になんら影響を及ぼすものではないから、被控訴人の右行為をもって行政処分に該当するということはできない。しからば、控訴人の本件訴は抗告訴訟の対象を欠く不適法なもので、しかもその欠缺は補正することができないものであることが明らかである。

(杉山孝 小池 古川)

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