大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(う)1986号 判決

被告人 金原伸夫

〔抄 録〕

ところで青信号により交差点に進入しようとする自動車運転者は特別な事情がない限り、左右道路から信号を無視して交差点内に進入する車両がないと信頼して運転すれば足りることはもちろんであり、この理は基本的には歩行者の場合でも異なるところはないと解されるのであるが、しかし、それだからといって青信号により交差点に進入する自動車運転者の前方注視義務まで一般的に免除されるものではないのであり、前認定の被告人車の速度および石坂の歩行状況から推認しうる同人の歩行速度をも綜合すると、被告人車が衝突地点の手前で停止するのに必要な制動距離だけ手前にあった時点において、石坂はすでに横断を開始しており、車道内に少くとも二メートル以上は進入していたこと(急に飛び込んだのではないこと)、およびその歩行態度からして同人が赤信号を無視して横断しようとしている状況であったことは被告人が前方注視を怠らなかったならば充分確認しえたであろうことは明らかなのであり、このように横断歩行者の信号無視が予見しうる場合には自動車運転者において回避措置を講ずるのが相当であるから、被告人に前方注視を怠った過失があるものといわなければならない。右と同旨に出た原判決は相当で所論の事実誤認はなく、論旨は理由がない。

(田原 吉沢 小泉)

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