大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(ネ)1899号 判決

昭和四五年七月三一日千葉県告示第四八八号により別紙物件目録二の土地が市街化区域とされたことは、当事者間に争いがない。従って同土地については農地法五条一項三号によりあらかじめ千葉県知事に届出て農地以外のものにするため所有権を取得することができることとなったものである。

以上によれば、被控訴人らは、昭和二二年九月二五日にした贈与契約に基づいて田中金蔵に対し本件土地につき所有権を移転する義務があるので、別紙物件目録一の山林については右贈与を原因とする移転登記手続をし、同目録二の畑については前記農地法五条一項三号の届出をしたうえ(農地法による許可申請あるいは届出は、特にその申請等をする旨の合意がなくとも、所有権移転義務の一内容として行なう義務がある。)、この届出が受理されたときは右と同様贈与を原因とする所有権移転登記手続をすべきものであって、田中金蔵の相続人である控訴人らは右の手続を請求する権利がある。

二 被控訴人らの抗弁及びその余の主張について

1 まず、被控訴人らは、別紙物件目録二の土地の贈与契約が強行法規に反し無効であると主張する。しかし、農地の贈与契約は、右贈与契約の当時の農地調整法四条(昭和二二年法律二四〇号の改正前のもの)の下では、命令の定める所により地方長官の許可又は市町村農地委員会の承認を受けるのでなければ、その効力を生じないとされていたものであって、右贈与契約は右の許可又は承認を法定条件とする契約として有効なものであった。そして、昭和二六年一〇月同法四条の許可申請に対し不許可となった際、右条件が不成就となったものとして、当事者間で当初の遺産分割の協議を修正する機会があったものであるが、前記一の4で認定のとおり、その後においても当事者間では右の修正をせず、前記一の4ないし8に認定の諸般の事実によると別紙物件目録二の土地の贈与の効力を持続させようとする暗黙の合意があったものと認めることができる。ところで、右農地調整法においてもその五条四項と農地調整法施行令三条七号(昭和二四年政令二二四号及び昭和二五年政令三一五号による改正後のもの)で、遺産の分割により権利を取得するときは、右の許可等を要しない旨規定されている(現行農地法三条一項七号においても同様である。)のであって、本件土地の贈与が前記一の3に認定の事情の下で、広松の遺産分割の一方法として行なわれた事実に照して考えると、右の合意は、必ずしも農地調整法又はその後の農地法等の法意に反し無効と解すべきものではなく、将来法律所定の許可等があるか、農地の移動統制が撤廃されなければ、所有権移転の効果は生じないが、その前でもなお法定条件付の合意として有効であると解するのが相当である。この点に関する被控訴人らの主張は採用できない。

2 次に、被控訴人らは右贈与による所有権の移転は、農地調整法四条の許可申請に対し不許可となったからその目的が到達できず無効となったと主張するのであるが、右不許可となった後の経過について前に認定したとおり、当事者間で従前の遺産分割の協議を修正せず贈与の効力を持続させようとする暗黙の合意があったものと認められるから、右の主張は理由がないものである。

(松永 糟谷 浅生)

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