大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(ネ)229号・昭48年(ネ)1207号 判決

二、次に控訴人らは亡弓子が収入を得るに至るまでの養育費を控除すべき根拠がないと主張する。なるほど被害者の養育費を負担するのはその扶養義務者である控訴人らであって、被害者の死亡によってその養育費の支出を免れたとしても、その利得は本件逸失利益賠償請求権の主体である被害者本人について生じたものではないから、損益相殺をなすべき場合に当らないとの見解もある。しかし、被害者の遺族が被害者の死亡による逸失利益の損害賠償を請求する場合は、被害者が取得した損害賠償請求権を相続人が相続するとの理論構成をとるものの、この場合は通常の相続の場合と異なり、被相続人に生ずる権利はその死亡自体によって発生すると同時に相続人に移転される権利であるから、被相続人の死亡と同時に相続人に発生する権利と差異はないのである。そうだとすれば公平の原理にもとづく損益相殺の法理の適用にあたっては、被相続人の養育費の支出を免れたことによる扶養義務者たる相続人の利得は、相続した逸失利益損害賠償請求権の額からこれを控除すべきものと解するのが相当である。

(杉山孝 渡辺 小池)

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