大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(行ケ)4号 判決

一 原告主張の請求原因事実のうち、特許庁における手続の経緯、本願発明の特許請求の範囲、審決理由の要点および第二引用例にはガスを濾過する装置は記載されていない旨の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、以下に原告の主張する取消事由について検討する。

(一)取消事由(一)について

第二引用例には、二酸化炭素成形体の製造装置に関し、ガスを濾過する装置が記載されていないことは被告の認めるところである。してみると、審決が第二引用例には二酸化炭素のガスを濾過する装置の記載がある旨認定したのは、この点に関して同引用例の記載内容の認定を誤つたものというべきである。

しかしながら、同引用例中のその余の部分の記載および第一引用例の記載が審決認定のとおりであることは原告も自認するところである。また、本願発明による成形体の形状は、頭部に設けた穴の形状により適宜選択できるものであることも原告の自認するところである。そして、成立に争いのない甲第四号証によれば、第二引用例記載の発明は、塊状二酸化炭素の製造方法に関する発明であつて、第二引用例には膨脹弁より噴出された二酸化炭素が液化室内において気体状、液体状および固体状の二酸化炭素を生じ、このうち余分な生成物である気体状二酸化炭素は固体状二酸化炭素と分離されて上部の導管より排出され、また、液体状二酸化炭素は濾過板により濾過されて下底部に達する装置が記載されていることが認められる。してみれば、ここには固体状の二酸化炭素の成形体を製造するに際して、余分な生成物である気体状および液体状二酸化炭素を分離すること、その分離の方法として或いは導管により排出し、または濾過板により濾過するという思想が開示されているものというべきである。そうだとすれば、第二引用例の記載は、気体と液体と雪の三相を生じるものであり、また気体を濾過する手段についての記載はないものであり、この点において本願発明と相違するところはあるが、ガスと雪とを分離する点において本願発明と分離対象を異にするものとはいえず、また、余分な生成物の分離手段として濾過の方法が開示されているから、この記載より本願発明におけるガスの分離手段として濾過方法を用いることは、当業者において容易に想到できるところといえる。したがつて、本願発明は、第一、第二引用例の記載より当業者において容易に想到できるものといつて妨げない。

(二)取消事由(二)について

原告は、本願発明における液体二酸化炭素の噴出箇所である閉じた室は、濾過部片がその室の一部を構成することが要件とされている旨主張する。しかし、当事者間に争いのない本願発明の特許請求の範囲の記載によるも、この閉じた室について原告の主張するような限定は見当らない。原告は、この点に関して明細書における発明の詳細な説明の項の記載を引用するが、これらの記載は、その記載内容よりも明らかなように本願発明の単なる実施例の説明、具体例の要約にすぎず、他に本願明細書中に原告主張事実を認めるに足りる記載は見当らない。したがつて,本願発明にいう閉じた室は濾過部片がその室の一部を構成することが要件であるということはできないから、このことを前提とする原告の主張は理由がない。

三 以上のとおり本願発明は第一、第二引用例の記載から容易になしうるものとした審決の判断は結局正当であり、審決にはこれを取消すべき違法はないものといわなければならない。よつて原告の本訴請求は失当として棄却する。

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