大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(行ケ)78号 判決

(争いのない事実)

一 本件に関する特許庁における手続の経緯及び本件審決理由の要点がいずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いがない。

(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本件審決が、本願商標は「エリート」の称呼をも生じ、したがつて、引用商標と称呼上類似する商標であるとしたことをもつて認定ないし判断を誤つたものである旨主張するが、この主張は、以下に説示するとおり、理由がないものといわざるをえない。すなわち、当事者間に争いのない本願商標の構成によれば、本願商標は、「FEATHER」と「ELITE」及び「フエザー」と「エリート」の二つの部分の結合からなつていることが明らかであるが、その前半、すなわち「FEATHER」、「フエザー」の部分と、その後半、すなわち「ELITE」、「エリート」の部分が常に一体に結びついた成語として一連にのみ称呼されるべきものであるとすべき特別の事情は認められないから、本願商標は、日常商取引においては、「フエザーエリート」又は「フエザー」の称呼のほか、単に「エリート」とのみ称呼されることもありうることは、その構成に徴し、見やすいところというべく、他にこれを左右するに足りる証拠はない。原告は、「ELITE」、「エリート」の文字は自他商品区別力を失つたものであり、「FEATHER」、「フエザー」は安全剃刀刃等について需要者間に広く認識された有名商標であるから、本願商標から「エリート」のみの称呼を生ずることはない旨主張するが、「ELITE」、「エリート」の文字が本願商標の指定商品である手動利器について(指定商品の点は当事者間に争いがない。)全く商品区別力を失つたとすべき証拠はなく、また、「FEATHER」、「フエザー」が原告主張のような有名商標であること(そのことは被告の認めて争わないところである。)から直ちに本願商標が、その構成から、「エリート」の称呼を生ずることは全くありえないと断ずることはできないから、原告の右主張は、理由がないものというほかはない。したがつて、本願商標をもつて、「エリート」の称呼を生ずること明らかな引用商標と称呼上類似の商標であるとした本件審決の判断をもつて誤りとすることはできない。

(むすび)

三 叙上のとおりであるから、その主張の点に判断を誤つた違法のあることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものといわざるをえない。よつて、これを棄却する。

〔編註〕 本件における請求原因は左のとおりである。

一 特許庁における手続の経緯

原告は、昭和四十二年七月十三日、「FEATHER ELITE」及び「フエザー エリート」の文字を上下二段に左横書にしてなる商標(以下「本願商標」という。)につき、商標法施行令第一条所定の商品の区分第十三類手動利器を指定商品とし、登録第三八〇〇八五号商標ほか一件の登録商標(後に、登録第二三七〇三二号ほか七十七件の登録商標と補正)の連合商標として商標登録出願をしたところ、昭和四十三年十一月二十日、拒絶査定を受けたので、同年十二月二十八日、これに対する審判を請求し、同年審判第九、六六一号事件として審理されたが、昭和四十九年三月十二日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は、同月二十七日、原告に送達された。

二 本件審決理由の要点

本願商標の構成、指定商品及び登録出願日は、前項記載のとおりであるところ、登録第六一五六四九号商標(以下「引用商標」という。)は、毛筆をもつて「エリート」の片仮名文字を左横書にしてなり、前掲第十三類カーテン金具その他本願に属する商品を指定商品として、昭和三十六年三月二日登録出願、昭和三十八年六月四日登録、昭和四十八年十二月二十五日、存続期間更新の登録がされたものである。

按ずるに、本願商標は、「FEATHER ELITE」及び「フエザー エリート」の文字を二段に横書にしてなるものであるから、その全体の構成より、「フエザーエリート」と称呼される場合があるとしても、前半の「FEATHER」及び「フエザー」の文字は、商品「安全剃刀刃」等について需要者間に広く認識されている商標であるため、看者に顕著に印象される部分であるし、後半の「ELITE」及び「エリート」の文字は、商品「手動利器」等の品質表示として当業者間において広く一般に使用されているとも認めがたいから、それ自体独立して自他商品識別の標識としての役割を十分果たすといわざるをえない。また、「FEATHER」「フエザー」及び「ELITE」「エリート」の両語が、一体不可分に結びついた成語となり、常に一連のものとして称呼されなければならないとする特段の事情があるものとも認められない。のみならず、本願商標の構成全体から生ずる称呼は、比較的冗長であるから、簡易迅速を旨とする商取引のもとにおいては、「フエザー」又は「エリート」の称呼をもつて取引される場合が少なくないと判断するのが相当である。

したがつて、本願商標は、単に「エリート」の称呼をも生ずるものと認めざるをえないから、「エリート」の称呼を生ずることが明らかな引用商標とは、称呼上類似の商標であり、かつ、本願商標の指定商品は引用商標の指定商品中に包含されることが明らかであるから、商標法第四条第一項第十一号により、本願商標の登録出願については拒絶をすべきものである。

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