東京高等裁判所 昭和50年(う)2664号 判決
被告人 鈴木勝芳
〔抄 録〕
所論にかんがみ一件記録を検討してみると、原判決添付別表(以下「別表」という。)記載の1から6までの各売買には宅地建物取引業法二条三号にいう宅地建物取引業者(以下「業者」という。)がその媒介に関与し、更に別表5及び同7の各売買の売主並びに同6の売買の買主がいずれも業者であったことは所論が指摘するとおりであるが、このように業者がその媒介に関与している宅地売買や業者が売主又は買主となっている宅地売買においても、同法三条一項所定の免許を受けていない者が右売買の都度これに介在してあっせん仲介の労をとり、これにより手数料を取得するなど媒介行為を業として営んだ場合には、この者が同法一二条一項所定の無免許事業をしたことになると解するのが相当である。これを本件についてみると、被告人が別表記載の各売買につき当事者と折衝を重ね、その売買契約の成立に尽力し、これに対する報酬を受領していたことが原判決挙示の関係証拠により明らかであるから、被告人は別表記載の各売買の媒介行為を業として営んだものといわざるを得ず、従って、被告人が同法一二条一項所定の無免許事業をした旨の原判決の判断は正当であり、原判決には所論のような法令適用の誤りや事実の誤認はないから、論旨は理由がない。
(寺尾 山本 渡辺)