東京高等裁判所 昭和50年(う)772号 判決
被告人 金山克已 外七名
〔抄 録〕
弁護人の控訴趣意第一、三≪中略≫は、原裁判所は、検証調書四通を刑事訴訟法三二一条三項により証拠として採用し、有罪の証拠として用いているけれども、右は同条の解釈、適用を誤り、証拠能力を有しないものを証拠として用いたものであるとして、その理由につき種々主張する。≪中略≫
所論は、右四通の検証調書の立会人は被疑者であり、とくに司法警察員蛭田昇伍作成の昭和四五年一〇月三〇日付検証調書にあっては、立会人鈴木旭が被疑者として現場へ連行され、黙秘権も告げられずに供述と、写真のモデルとなることを強要され、しばしば手錠をかけられたまま供述をさせられたものであるという。なるほど、本件各検証調書の立会人は被疑者であり、鈴木旭の場合は片手錠をかけられた状態において指示説明を求められたこともあることが認められることは、所論のとおりである。しかし、検証者が右立会人らに求めたものは、検証の対象たる地点又は物の状況についての検証の手段としての指示説明の範囲にあるものと解せられるから、とくに立会人が被疑者であるからといって、予め黙秘権を告知しなければならないものではなく、原審証人蛭田昇伍の供述および押収してあるカセツトテープ一巻(東京高裁昭和五〇年押第二八三号の一)に照らして、鈴木旭が指示説明をすること、および指示説明の状況を写真に撮影されることについて、同人を強要した事実は認められないから、所論は採用できない。
(綿引 石橋 藤野)