東京高等裁判所 昭和50年(ネ)1177号 判決
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【判旨】
1 本件記録によれば、伊藤力男は昭和四五年九月一七日に本訴を提起し、本訴を維持することにより、昭和四六年一一月二七日以降遅滞なく、被控訴人の土地使用につき異議を述べているものと認められる。
2 そこで、右異議の正当の事由の存否につき検討する。
伊藤力男居住家屋の東側には、同人所有の木工場があり、騒音や振動が激しいことは当事者間に争いがなく、<証拠>によれば、伊藤力男の長女である控訴人伊藤公子は、昭和四四年二月ころ脳内血腫を患つて以来右半身が麻痺し、右異議当時通院加療中であり、療養のためには静ひつな環境におくことが望ましく、伊藤力男としては、右療養の場所にあてるため、本件敷地部分の明渡を受けることが望ましいと考えたことが認められるが、伊藤力男において近々その居住家屋を明渡さなければならない事情があつたと認めるべき証拠はなく、他方、被控訴人が本件土地上に本件建物を所有していることは当事者間に争いがないところ、原審における被控訴本人尋問の結果によれば、被控訴人はこれを同人とその家族の居住の用に供していたことが認められるから、前記認定の賃貸人側の事情をもつてしては、いまだ前記異議に正当の事由があつたとは認め難い。
(杉本良吉 石川義夫 三好達)