大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(ネ)2019号 判決

一 当裁判所は、控訴人の本訴請求を理由がないものと判断するが、その理由は、次に附加するほか、原判決の理由中の説示と同一である(但し、原判決第一六丁裏第四行目中程に「枠」とあるのを「枠に取付けた板」と訂正する。)から、これを引用する。

(一) 成立に争いのない甲第一号証(本件実用新案公報)によれば、本件考案の明細書には、実用新案登録請求の範囲にも、考案の詳細な説明にも、直接支杆の形状について規定した記載がないことが認められるが、同号証における右各項及び図面の記載に徴すると、支杆相互間の構造には、側壁の両側面に一組ずつ向い合つて固着されるという限定が付されているものと解するのが相当である。なお、通常用いられる支杆(支柱)に控訴人主張のような各種のものがあることによつて、本件考案における支杆相互間の構造に限定のあることを否定しえないことはいうまでもないところである。従つて、控訴人の当審における主張の(一)は理由がない。

(二) 前出甲第一号証によれば、本件考案は、「コンベヤ上に載せて運搬する食品を蠅や塵埃の被害から守つて常に衛生的に食品を供給」(前記公報第一頁左欄第一四ないし一六行)することを主要な目的とし、そのため、「枠を向い合せてコンベヤ上に囲繞し、枠に板を取付け」(実用新案登録請求の範囲)る構成、すなわち、コンベヤ上をその全幅にわたつて被覆する板を設置する構成をとつたものであることが明らかであり、これによつて、コンベヤ上に被覆のないものより以上に、本件考案の目的が達成されるであろうことは推測するに難くないところであるから、控訴人主張のように、板とコンベヤ間に空間があるため、蠅、塵埃などの被害の完全防止が、たとえ、不可能であつても、それゆえに、これを考案の主要目的から除外し、引いては、コンベヤを全幅にわたつて被覆する板を設置することをもつて考案の構成要件外の事項であるとすることはできない。従つて、控訴人の当審における主張の(二)も理由がない。

二 よつて、控訴人の請求を棄却した原判決は正当であつて、本件控訴は理由がないから、これを棄却する。

〔編註その一〕本件における当事者の主張は左のとおりである。

一 控訴人の当審における主張

(一) 本件考案の支杆について

本件考案の調理食台において、枠が互いに向い合つて形成されているからとて、その枠を支える支杆も側壁の両側面に「向い合つて固着される」ことを要するものではない。というのは、本件考案にいう支杆は通常各分野において広く用いられる「支柱」と同義であるが、その支柱には、T字型、Y字型、逆L字型等の種類があつて、上下等幅の一本の棒体に限られるものでなく、また、本件考案の明細書中にも支杆を向い合せる旨の記載が全くないからである。

(二) 同じく板について

本件考案の調理食台において枠に取付けた板はコンベヤを全面にわたつて被覆することを要するものではない。なぜならば、本件考案においてコンベヤ上に板を設けた目的は、コンベヤ上に被覆がないと、その上に載せてある食品に蠅が止まつたり、塵埃が落ちたりする虞れがあるため、食品欲求者に非衛生的な感じを起させるので、これを防止することにあるが、その板の大きさ、コンベヤからの高さ等が食品の出し入れ等との関係から制限を受けるため、所せん、コンベヤ上に落下浮遊する塵埃を完全に防ぐことはできず、また、蠅が性質上、回動体をおそれてコンベヤの側方から近寄らないため、蠅にそなえて、板をコンベヤの幅に一致させる必要はないので、結局、コンベヤの上に板を設けることの目的の重点は、何よりも、これによつて食品欲求者に非衛生的な感じを起させないようにすることであつて、そのためには、板がコンベヤの全面を覆つていなくても、用を足すからである。

二 被控訴人らの当審における主張

(一) 本件考案においては、側壁に固着された支杆とその頂上に固着架設された枠とが一組に形成され、その枠が向い合つてコンベヤ上を囲繞するものであるから、支杆は、枠と一体をなすものとして当然、側壁の両側面に向い合つて固着されるものと解するのが相当である。

(二) また、枠に取り付けた板は、その枠が向い合つてコンベヤ上を囲繞することを要する以上、コンベヤを全面にわたつて被覆するものと解すべきであり、また、そうでないと、控訴人の主張する本件考案の作用効果も到底達成されないことになる。

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