東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)60号 判決
一 本願商標について審決の成立にいたる特許庁における手続、その標章の構成、指定商品、審決の理由、引用商標の構成、指定商品、出願日、登録日に関する原告主張の前掲事実は当事者間に争いがない。
二 そこで、右審決に原告主張の取消事由があるか否かについて審究する。
本願商標を英語読み風に称呼した場合その一つとして「レベリユウム」の称呼が生じること、引用商標から「リブリユウム」の称呼を生じることは原告の認めて争わないところであり、その称呼を対比すると、両者は第一音の「レ」、「リ」、第二音の「ベ」、「ブ」において異なるが、「レ」、「リ」の音が同行に属し有声の弾音である子音の「r」を共通にする歯茎音であり、「ベ」、「ブ」の音も同行に属し有声の破裂音である子音の「b」を共通にする両唇音であつて、それぞれ調音を同じくし音感においても近似するから、その他の部分が「リユウム」の音を共通にしていることを考え併せれば、これらをそれぞれ全体として一連に称呼した場合、その語感、語調が相紛らわしいことが認められる。原告は、両者は、語頭の「リブ」、「レベ」において語音が著しく相違するとともに、引用商標の後半部の「RIUM」、「リウム」から生じる「リユウム」の称呼も、読み方により、本願商標後半の「リユウム」の称呼と調音、音感に明確な差がある旨を主張し、なるほど、両商標の語頭の「リブ」と「レベ」とが語音において相違するのを否み難いけれども、その相違は両商標の前記認定のような語感、語調の紛らわしさを払拭するほどのものとは認められず、また、引用商標の後半部から生じる「リユウム」の称呼が本願商標後半の「リユウム」の称呼と調音、音感を等しくする場合もあり得ることは原告自身の認めるところであるから、右主張事実だけでは前記認定を左右するに足りない。
なお、本願商標の構成中「ve」が英語の「love」、「live」におけるように「ブ」と発音する場合が少なくないことは原告の認めるところであり、その伝によれば、本願商標からは「レブリユウム」の称呼も生じ、これを引用商標の「リブリユウム」の称呼と対比すると、両者は第一音の「レ」、「リ」において異なるが、音感において近似することは前述のとおりであるうえ、称呼の大部分を占める「ブリユウム」の五音を共通にするから、これらをそれぞれ全体として一連に称呼した場合、その語感、語調が近似し、相紛らわしいことが認められる。原告は、本願商標の構成中「me」が、「ve」の「e」を発音せず「ブ」と発音する流儀により「ム」と発音するものとすれば、本願商標からは「レベリユウム」のほか、「レブルム」の称呼が生じるだけである旨を主張するが、本願商標が特定の意味のない造語より成ることは原告も認めて争わないところであつてみれば、その構成中、「Me」を「ム」と発音することがあるとしても、「lume」が英語の「volume」の「lu」のように「リユウ」(Iju(:)」)と称呼されることが避けられるものではないから、右主張は採用し難い。原告は、また、本願商標から生じる「レブリユウム」の称呼と引用商標から生じる「リブリウム」又は「リブリユウム」の称呼とを、本願商標の指定商品たる化学薬品の取扱業者の注意力からすれば聴き誤まるおそれはない旨を主張するが、その主張事実を認むべき証拠はない。
してみると、本願商標は引用商標と称呼において類似するものといわなければならない。
そして、本願商標と引用商標とがその指定商品を同じくすることは冒頭掲記の事実から明らかであるから、本願商標は商標法第四条第一項第十一号に該当し、登録を受けることができないものというべきであつて、審決の判断は正当である。
三 以上の次第であるから、本件審決には原告主張の違法がなく、その取消を求める本訴請求は理由がない。