大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(う)1252号 判決

被告人 水谷和弘

〔抄 録〕

所論は、被告人は、昭和四七年九月一七日原判示第六事実について緊急逮捕・勾留され(以下、第一次逮捕・勾留という。)、警察官の取調べを受けたが、右逮捕直後警察官は被告人が事実を否認すると被告人にポリグラフ検査を受けさせたが、当時被告人が一六歳で心身が未成熟であり被影響性が強かったばかりでなく多量のボンドを常用して被暗示性の強い状態にあったほか、同検査に対する拒否権を告知したことおよび被告人の真摯な承諾のあったことが認められないから、かような検査を行なうことは捜査の必要性・相当性を逸脱する。<中略>これらの結果作成された被告人の各自白調書には任意性がなく、これを採証した原判決には訴訟手続の法令違反がある、という。<中略>

ところで、まずポリグラフ検査の点について考えると、被告人作成のポリグラフ検査承諾書、技術吏員寺山進作成の検査書、当審における証人寺山進、同徳江吉雄の各供述、原審における証人杉田高光の供述を総合すると、被告人は第一次逮捕直後その被疑事実を否認したので、警察においては捜査の参考にするため被告人の承諾を得て埼玉県警察本部刑事部鑑識課犯罪科学研究室技術吏員寺山進によるポリグラフ検査を受けさせたこと、検査の結果被告人は被疑事実の全般にわたり認識を有しているにもかかわらず故意に返答を偽っているものと推定されたこと、右寺山からその旨捜査警察官に知らせたこと、同日被告人の取調べははじめ熊谷警察署警部補徳江吉雄が、ついで埼玉県警察本部警部補杉田高光がしたこと、同人らはポリグラフ検査の結果を聞いたものの、その結果はとくに被告人に告げることをしないで取り調べたが(当審における被告人の供述によっても、同警察官らがポリグラフ検査の結果をたてにとって被告人を追求したとはされていない。)、被告人は同検査の後においてはあまり否認をしないで、徳江に対しては逮捕の被疑事実である二回目の旧熊谷保健所への放火未遂事実を(原判示第六事実)、ついで一回目の同保健所への放火事実(原判示第四事実)を自白したので徳江は同日付で二通の供述調書を作成したこと、また被告人は杉田に対し原判示第一、第二、第五事実のほか自宅をふくむ余罪数件を自白したので杉田はそれらの放火箇所を図面に書かせ、それらを添付した同日付供述調書を作成したこと、が認められる。

ポリグラフ検査とその結果の利用は、とくに年少者に対する場合においてはその取扱に慎重を期すべきものと思われるが、その検査自体を違法視するのは相当でなく、また右認定の経過に徴すると本件における検査とその利用の仕方に違法とすべきものがあるとは考えられない。

(新関 渡辺 小田)

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