大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(う)2091号 判決

被告人 陳徳財

〔抄 録〕

所論は、大麻の所持につき税関で申告しなかった被告人の行為に対し関税法一一一条を適用したのは「不利益な供述の強要」を禁止した憲法三八条一項に違反するというのである。

しかし、関税法は、税収入の確保と一切の貨物の輸出および輸入の規制を目的とし、その規制手段として、輸出入貨物についてはすべて所定の事項を税関長に申告し必要な検査を経てその許可を受けなければならないものとし、もって貨物の不法な輸出入を阻止しようとしたのであって、右目的を達成するため、関税法一一一条一項は無許可で貨物を輸出入した場合にこれを処罰することとしているのである。すなわち右条項は、貨物の輸出入につき許可申請義務(同法六七条)違反そのものの行為を罰する規定ではなく、もとより自己が刑事上の責任を問われる虞れのある事項についての供述を強要するわけのものでもないから、本件につき右条項を適用した原判決に違法はない。論旨は理由がない。

(東 長久保 中野)

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