東京高等裁判所 昭和51年(う)321号 判決
被告人 小篭幸雄
〔抄 録〕
被告人が鳥飼と宮間進との金銭貸借につき斡旋し、担保に供する本件けん銃を持参した鳥飼を自分の自動車に乗せて宮間との本件取引の行なわれた原判示の場所に赴いたことは所論も認めるところであり、さらに関係各証拠によれば、被告人と鳥飼との両名が本件けん銃を宮間に引き渡し、その代償として一六〇万の現金を受け取るまで、原判示日時、場所において本件けん銃を共同で管理していたこと、金一六〇万円の分配額については必ずしも明確でないが、被告人が少なくとも六〇万円を受け取っていることが認められ、また、被告人がかような利得をしたのは、本件取引にあたって当時被告人も鳥飼も金に窮しており、鳥飼が自ら製作したけん銃三丁と同人が三枝から塗装を頼まれ預かっていたけん銃五丁とを、被告人の紹介する暴力団員の金融業者宮間に一丁二〇万円で担保に入れることの謀議が成立しており、被告人としては鳥飼が借用金を返済できなければ自分が返済してでも本件けん銃を取り返す考えであったくらいで、本件取引に深くかかわりをもっていたものであり、鳥飼としても現実の取り分はとにかく、本件取引によって八〇万円くらいは取り分があると考えていたというのであって、鳥飼はけん銃の製作、調達を受持ち、被告人はこれを担保にしての融資先を見つけるという分業の過程を経て、本件犯行に至ったものであり、また、本件けん銃の原判示自動車内における保管の態様は、八丁のけん銃を一個のアタッシュケースに入れて運転席と助手席の間、あるいは助手席の足のあたりに置いたものであること(ちなみに、被告人と鳥飼は運転席と助手席にいたと認められる。)、以上認定の諸事実にかんがみれば、原判示のとおり、被告人は鳥飼と意思を通ずるというにとどまらず、原判示の日時、場所において同人と共同して本件けん銃を所持していたものと認めるに難くないところである。所論のとおり、被告人の本件所為が周旋にあたるものであり、また被告人が本件けん銃を手にしたことがなかったにしても、被告人は本件けん銃所持の共同正犯としての責任は免れ得ないところであるといわなければならない。
(服部 藤井 中川)