大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(て)834号 判決

被告人 塚田てる

〔抄 録〕

一件記録によると、本件上告の申立期限は、同年一一月五日であるが、申立人の依頼を受けた弁護人榊原展成は、上告申立書を当裁判所に郵送すべく、同月三日午前〇時から同八時までの間、右申立書在中の「東京都千代田区霞が関一の一最高裁判所」宛の封書を栃木郵便局に速達便をもって郵託したところ、該郵便物は、東京中央郵便局に同日午後〇時ないし同六時の間に到達したにかかわらず、配達受持局である麹町郵便局には本件上告申立期限後である同月六日午前〇時ないし同八時の間に到着したこと、したがって最高裁判所には同日に配達され、即日、同裁判所を経由して東京高等裁判所に到達したものの、右上告申立書は上告申立期間内に当裁判所に到達しなかったものであること、右郵便物は最高裁判所の所在地として旧所在地が誤って記載されているが、かかる場合東京中央郵便局では、通常の場合と異なり、その誤りが明らかであるから、該郵便物は集配部事故担当係から特殊部特殊計画課業務係に回付され、同係から前記配達受持局である麹町郵便局に回送されることになっているので、該郵便物は、同月四日中か、遅くとも同月五日中に同郵便局を通じて最高裁判所に配達できる状況にあったこと、然るに、本件の郵便物がどうして、同月六日に麹町郵便局に到達したかについて、東京中央郵便局においてはその理由を把握しておらず、現在では調査不能であることが認められる。

右事実に、速達郵便物は他の郵便物に優先して送達する、との郵便法六〇条の趣旨を併わせて考えれば、前記弁護人が本件郵便物の宛先を東京高等裁判所とせず、誤って最高裁判所とし、しかもその所在地の住所を、前示のように、間違えたとはいえ、申立人において、右郵便物が上告申立期間内に最高裁判所を経由し最終的に管轄裁判所である東京高等裁判所に到達することを期待するについては、相当な理由があったものというべく、右期間の経過を申立人またはその弁護人の責に帰せしめるべきではないといわねばならない。

(草野 大前 油田)

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