大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(ネ)100号・昭50年(ネ)2415号 判決

被控訴会社と日活労組との間で、昭和四九年一月二五日、第一二三期の賞与につき、同年七月一三日、第一二四期の賞与につき、それぞれ確認書をもって、その支払方法及び期日について資金調達出来次第支給する旨の合意がなされたことは、弁論の全趣旨に徴し当事者間に争いがない。

≪証拠≫によると、第一二三期は昭和四八年八月一日から昭和四九年一月三一日までの被控訴会社の営業期であり、第一二四期は同年二月一日から同年七月三一日までのそれであるところ、右の合意においては、支払方法及び時期(ただし、第一二四期については賞与の一部は昭和四九年七月二〇日に支給することに合意されている。)のほか、賞与の支給額(ただし、第一二三期については昭和四八年一二月に既に支給済みの年末一時金を含む。)、計算方法(ただし、従前の例によることに合意されている。)についてもなされていることが認められ、なお、≪証拠≫によれば、被控訴会社の就業規則には賞与に関する規定も存することが認められる。

以上の認定事実によると、被控訴会社においては賞与の支給条件があらかじめ定められていて、被控訴会社にはその支払義務があり、労組との交渉を経たうえで支給額を決定し、遅滞なく支払うことになっているものと推認され、右賞与は労基法第一一条にいう賃金にあたることは明らかである。

ところで、被控訴会社と日活労組との間で合意された「資金の調達出来次第支給する」とは、賞与の支給を専ら被控訴会社側の事情にかからしめていて不確定期限を付した場合に等しいといえるから、それでは被控訴会社の恩恵的給付となっても賃金と呼ぶにはふさわしいといえないので、右の合意は労基法第二四条の趣旨に反することは明らかである。したがって、右合意の趣旨は、日活労組が各組合員をして賞与の請求を、被控訴会社が財政的に支給できると判断される時まで控えさせることを約して被控訴会社の財政的窮乏に理解と同情を示したものであり、法律的な意味において本来の支給期限を延期することまで認めたものではないと解するのが相当であり、被控訴会社は右の合意をたてに、日活労組の約束にかかわらず個々の組合員が自らの意思で賞与を請求する場合には、その支払いを拒むことはできないものと解すべきである。

(渡辺 田畑 丹野)

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