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東京高等裁判所 昭和51年(ネ)2641号・昭51年(ネ)483号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二次に、本件訴訟の経過について見るに、本件記録によると、次の事実を認めることができる。

(一) 控訴人は、昭和五一年五月七日被控訴人を被告として東京地方裁判所八王子支部に本訴を提起し(同庁同年(ワ)第四三六号事件)、被控訴人に対し、(1)本件各土地につき所有権移転登記手続をなし、本件各土地を引き渡すこと、(2)貸金五〇万円及び慰藉料一〇〇万円を支払うことを請求した。

被控訴人は、右訴訟事件の口頭弁論期日に出頭しなかつたが、右裁判所八王子支部は、同年一〇月一八日「被控訴人は控訴人に対し本件各土地につき所有権移転登記手続をせよ。被控訴人は控訴人に対し金二〇万円及びこれに対する昭和五一年六月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。控訴人のその余の請求を棄却する。訴訟費用はこれを二分し、その一を被控訴人の、その余を控訴人の負担とする。」との判決を言い渡した。右認容に係る二〇万円は、控訴人の貸金請求の一部が認容されたものである。

(二) 控訴人は、昭和五一年一〇月二九日当裁判所に控訴を提起し(当庁同年(ネ)第二六四一号事件)、「原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。被控訴人は控訴人に対し貸金三〇万円(当初の請求額から第一審認容額を控除したもの)及び慰藉料一〇〇万円並びに右各金員に対する昭和五一年六月六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。」との判決を求める旨申し立てた。

被控訴人もまた、昭和五二年三月一日附帯控訴を提起し(当庁同年(ネ)第四八三号事件)、「原判決中被控訴人に対し金員の支払を命じた部分を取り消す。右部分に関する控訴人の請求を棄却する。」との判決を求める旨申し立てた。

更に、控訴人は、同月一一日右控訴事件につき請求の趣旨を拡張する旨申し立て、新たに「被控訴人は控訴人に対し不当利得(横領)金一〇〇万円及びこれに対する昭和五二年三月一六日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。」との判決を求めるに至つた。

(三) 当裁判所は、審理を重ねた結果、昭和五四年二月一三日の第一〇回口頭弁論期日において弁論を終結し、判決言渡期日を同年四月二六日午後一時と指定するとともに、受命裁判官により和解を試みることとした。

受命裁判宮は、和解期日を同年三月八日午後三時と指定し、控訴人及び被控訴人は、右和解期日に出頭し、相互に譲歩して前記認定の和解を成立させ、和解調書が作成された。

(四) 控訴人は、同年三月八日当裁判所に「右当事者間の昭和五一年(ネ)第二六四一号事件につき昭和五四年三月八日に成立した和解調書当事者双方に送達されたく申請します。」と記載した「和解調書正本送達申請」と題する書面を提出し、右和解調書正本は同月一四日控訴人及び被控訴人に送達された。

なお、右和解調書には明白な誤謬があつたので、当裁判所は同月二九日更正決定をなし、右更正決定正本は同年四月二日控訴人及び被控訴人に送達された。

(五) 控訴人は、昭和五四年三月一五日付け(当庁同月一六日受付)「口頭弁論期日指定申立書」と題する書面をもつて、本件訴訟につき審判を受けるべく口頭弁論期日の指定を求める旨申し立てた。

三右二において認定したように、当裁判所における口頭弁論は、控訴人及び被控訴人の双方から不服申立てのあつた、控訴人請求に係る貸金五〇万円、慰藉料一〇〇万円及び不当利得金一〇〇万円の債権の存否について行われたのであり、このことは和解手続においても同様であつて、控訴人が、原判決において認容された金員の支払を命ずる部分が第二審における審判の対象となつていることを知らなかつたと供述するのは、本件記録上の当事者双方の主張及び立証活動の経緯に照らし到底措信し得ないものであり、それは控訴人の単なる弁解にすぎないものと見るのが相当である。

また、前記和解によれば、被控訴人の本件各土地に対する所有権移転登記手続の履行は昭和五六年三月末日まで猶予されたのであるが、本件記録によると、本件各土地は、被控訴人が金融機関から融資を受けるにつきその担保に供する目的で、控訴人から被控訴人に対する所有権移転登記を経由し、被控訴人が本件各土地を訴外太平信用金庫等のため担保に供していたところ、被控訴人はいまだに右信用金庫等の担保権を消滅させるに至つていないので、(<証拠>)、被控訴人において爾後二年間のうちに右被担保債務を弁済し、その負担を一切消滅させた上、本件各土地につき控訴人に対する所有権移転登記手続を履行するという趣旨の合意が成立したものと推認することができるから、控訴人の供述するように「控訴人が被控訴人から不当利得金一〇〇万円の支払を受けることがないのに、控訴人が被控訴人に対し所有権移転登記手続の履行を二年間も猶予してやる必要はないのである。」と評価すべきものでもないのである。

そして、当審における新たな控訴本人尋問において、同人は、その主張に係る本件期日指定申立て事由に符合する供述をしているが、右供述は当審における新たな被控訴人尋問の結果と対比して信用することができず、右被控訴人の供述によると、前記和解は、控訴人及び被控訴人の合意に基づいて適法に成立した事実を認めることができる。

四そうすると、本件訴訟は右和解によつて終了したことが明らかであり、控訴人の本件期日指定申立ては理由がない。

よつて、本件訴訟が右和解の成立により終了した旨の終局判決をすることとし、本件期日指定申立て後の訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(貞家克己 長久保武 加藤一隆)

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