東京高等裁判所 昭和51年(ネ)2896号 判決
被控訴人は、右契約解除の効力を争い、本件調停条項中「賃料の支払を三ケ月分以上怠るとき」とは調停成立後において毎月末日に支払うべき賃料を三回以上怠ることをさすのであり、したがって、調停成立直後の昭和四四年一二月末日までに同月分の賃料の支払いをしなかったとしても、これにより賃料の支払いを三か月分以上怠ったことにはならず、控訴人の契約解除はその効力を生じないと主張するから、考えるに、右調停条項の文言を被控訴人主張のように解釈するには文理上疑問があるのみならず、前記のとおり、本件土地の賃料は当月分を毎月末日かぎり支払うものと定められていたことを合わせ考えれば、右文言は、特段の事情のないかぎり、調停成立当時すでに不払となっていた二か月分の賃料を含めて不払い分が合計三か月分以上に達したときをさすものというべく、したがって、被控訴人が昭和四四年一二月末日までに同年一〇月から同年一二月まで三か月分の賃料の支払いをしない場合には、控訴人は被控訴人に対してなんらの通知催告を要せず本件土地賃貸借契約を解除しうる趣旨であったと認めるのが相当である。前掲佐藤証人の証言中、本件調停成立の際昭和四四年一〇月及び同年一一月分の賃料を同年一二月末日に支払うとの話はなかったし、約束を守らないと契約を解除されるとの説明もされなかった旨の部分は、後記認定事実に照らして措信することができない。すなわち、≪証拠≫によれば、本件調停調書中には、昭和四四年一〇月及び同年一一月分の賃料を右無催告解除の原因となる賃料不払い三か月分の算定から除外する旨又はその趣旨を窮わせるような条項はなんら存在しないこと、控訴人は、右調停において、被控訴人が賃料の支払いを二か月分以上怠ったときは控訴人はなんらの通知催告を要せず、賃貸借契約を解除しうることとするよう希望し、これに対して被控訴人は、右二か月分を三か月分とするよう要求し、調停成立の際、被控訴人の希望が容れられて、前記文言のような条項が定められたのであるが、その際すでに不払いとなっている前記二か月分の賃料の支払い方法が問題になり、調停委員から被控訴人に対して、右二か月分の賃料を昭和四四年一二月末日までに支払わないとたいへんなことになる旨説明したことが認められるのであり、右事実は、前記調停条項の文言が被控訴人において同年一二月末日に同年一〇月ないし同年一二月分の賃料を全く支払わない場合には、控訴人においてなんらの通知催告を要せず賃貸借契約を解除しうるとする趣旨であったことを裏付けるものということができる。
してみれば、本件土地賃貸借契約は昭和四五年一月一四日控訴人の解除により終了したものといわなければならない。
(大内 森 奈良)