大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(行ケ)3号 判決

一 前掲請求原因のうち、本願考案につき、出願から審決の成立にいたる特許庁における手続、考案の要旨及び審決の理由に関する事実は当事者間に争いがない。

二 そこで、右審決に原告主張の取消事由があるか否かについて考察する。

右に確定した本願考案の要旨のうち「クラブの頭部における球打面Zを囲んでその周囲もしくは片寄つた位置に偏倚重3を配設した」という部分において「球打面Zを囲んで」の文言が何を限定するのか、右要旨の表現だけでは必ずしも明瞭といえないが、成立に争いのない甲第一号証(当初の明細書)及び第四号証(意見書及び補正書)によると、本願考案の明細書中、考案の詳細な説明の本文には、「図面(ただし、別紙第一図面を指す。)は本考案を示すもので、1はクラブの頭部、2は把柄部であり、この頭部の球打面の周囲もしくは片寄つた位置に偏倚重3を配設する。」と記載され、その図面に示された偏倚重はすべて球打面の中心を囲む周辺部に配設されているほか、同じく本文には、図面の説明として、「球打面の周囲の外側を厚くし、中心部に近くなるほど次第に薄くする構成、すなわち偏肉(偏倚重)を形成する」(別紙第一図面第1図について)、「頭部の材質と異る金属を用いて球打面の周囲に偏倚重を形成する」(同第3図について)との記載、ウツドクラブにおける実施例として「別に造つた特定の荷重を球打面の周りに埋設する」との記載があるだけでなく、突出部が打棒頭部の後面から延出する位置限定では球がゴルフクラブの球打面の中心から外れても、これに当つたと同様の飛距離を出せるという、偏倚重設置による所期の効果が表われない旨が特記されていること、一方、ゴルフクラブの頭部において限定のない広い意味の「片寄つた位置」に偏倚重を設くべきことを窺わせるような記載はないことが認められるから、これを総合すれば、結局、右考案の要旨は、ゴルフクラブの頭部において偏倚重が球打面の周囲もしくはその片寄つた位置で球打面の中心を囲む形、すなわち、片寄る方向ないし範囲は限定されないが、球打面の中心を囲む周辺部に配設される構成を規定したものと解するのが相当である。

ところで、引用例に審決認定の記載があることは原告の自認するところであるが、成立に争いのない甲第三号証(引用例)によると、引用例の発明は、打球の際、ゴルフ打棒の頭部とボールとの間に芝が押し込まれる危険を減少させることを目的として、ゴルフ打棒の頭部において、その後面下部から突出部を延出させるとともに、これに打棒の頭部から距離を置いた対地接触部分を設ける構成をとつたもの(別紙第二図面参照)であつて、本願考案のように球打面の中心から外れた球に飛距離を出させる目的で球打面の特定部分に偏倚重を配設するという技術思想とは全く別個のものであることが認められる。

そうだとすると、引用例における突出部は、打棒の頭部全体からみて、片寄つた位置にある偏倚重に当るかも知れないが、本願考案における構成の一つである「片寄つた位置に偏倚重を配設した」ものと同一であるということはできない。したがつて、本願考案が引用例の構成を包含することを理由にその新規性を否定した審決の判断は誤りであるから、違法というべきである。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を正当として認容する。

〔編註〕 本件に関する図面は左のとおりである。

別紙第一図面

<省略>

別紙第二図面

<省略>

<省略>

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