大判例

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東京高等裁判所 昭和51年(行ケ)56号 判決

右審決の取消事由があるか否かについて考察する。

(一) 本件意匠及び引用意匠(中略)、両意匠は、ともに、平面よりみて周囲四辺を長方形状とし、正面及び側面を上広がりの逆台形状の籠体とし、その最上部の周縁部に縁取り状の突出部を設けて、同部に籐製に擬した細かい筋模様を表わし、また、籠体の高さ・横幅及び奥行相互間の比率もほぼ一致しているが、他面、次の諸点において相違することが認められる。

(平面よりみた場合)

1 本件意匠の開口部周縁は、その四辺がいずれもやや外側に彎曲し、全体としてふくらみを帯びた長方形状であるが、これに対し、引用意匠の開口部周縁は、その対向する各辺が直線的に平行していて、全体としてかたい感じの長方形状である。

2 本件意匠の底部は、その表面に多数の小さな正方形の透孔が縦横に整然と形成され、そのうち中心部にある四個がそれぞれ中心部寄りの角をつぶされ、これにより菱形状の飾り模様が形成されているだけであるが、これに対し、引用意匠の底部は、その表面に右同様に形成された透孔のうち、中心部にある一個をつぶして飾り模様とし、また、同部位を通り、四隅を結ぶ対角線上に交叉する帯状部を表わしている。

(正面及び側面よりみた場合)

3 本件意匠の籠体は、その側面の上半部に菱形の、下半部に角形のそれぞれ多数の透孔が形成され、そのうち上半部にある透孔の個々の形状を少しづゝ歪め、これにより全体として重なり合うアーチ状が形成されているが、これに対し、引用意匠の籠体は、その表面に右同様に透孔が形成されながら、そのうち上半部にある透孔をほぼ同形の菱形としたまま直状に配し、二つ(別紙第二図面の右側側面図)または一つ(同図面の背面図)おきにつぶし、これにより菱形の飾り模様が形成されている。

4 本件意匠の脚部は、正面及び側面に表われたところでは、いずれもほぼ同幅のもの四個であるが、これに対し引用意匠の脚部は、正面及び側面に表われる限り、いずれも三個であり、正面(別紙第二図面の右側側面図)にみられる中央のものが両端のものより幅において著しく長い。

(底面よりみた場合)

5 本件意匠は、底部の中央部に正方形となるような位置関係をもつて<省略>状の脚部四個を、また、四隅に弧状の脚部一個づつを配置しているが、これに対し、引用意匠は底部の四隅に<省略>状の脚部一個づつを設け、各辺の中央に長短棒状の脚部一個を配置している。

(二) してみると、審決が両意匠の籠体の正面及び側面に表わされた透孔部の形状を酷似しているとした認定は右(一)の3のような相違点を看過したものといわなければならない。

そして、脱衣籠が基本的形状として上広がり状の周面を有する周壁部を設けることを機能上不可欠とされ、また、近時その籐製のものに代えてプラスチツク製のものを商品化するについて旧来のとおり平面の周面を長方形状あるいは楕円形状に形成し、これに上広がり状の周面を有する周壁部を設け、その周面上縁に装飾のため籐製の形状に模して無数の凹突条(筋模様)を附加することが極めて普通に実施されていることは当事者間に争いがなく、右事実に、成立に争いのない甲第四ないし第一一号証(いずれも意匠公報)に記載の脱衣籠等の意匠登録例を参酌すると、両意匠の籠体の全体的形状及び寸法的割合並びに、その最上部の周縁部の形状及び模様における前記認定の一致点のごときは脱衣籠の形状として極めてありふれたものと認めるのが相当であつて、この点に看者の注意を引く意匠の支配的要素があるものとは考え難いのみならず、むしろ、両意匠には、右(一)の1ないし5の点において相違し、特にその1ないし3のような顕著な差異のため看者に与える美感を異にするものがあるから、両意匠は、これを全体的に観察するならば、その間における前記のような共通性にもかかわらず、なお、相互に類似しないといわなければならない。

(三) 以上の次第で、審決が本件意匠について、これを右共通性の故に引用意匠と類似するとして、その登録を無効とすべきものとした判断は誤りというべく、審決は違法であつて取消を免れない。

よつて、本件審決に違法があることを理由にその取消を求める原告の請求を正当として認容する。

〔編註〕 本件に関する図面は左のとおりである。

別紙第一図面(本件意匠)

<省略>

別紙第二図面(引用意匠)

<省略>

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