東京高等裁判所 昭和51年(行コ)6号 判決
控訴人の本訴請求は、本件各土地についての前記各許可処分(以下本件各許可処分という。)の取消しを求めるというのであるが、前記確定判決によれば、控訴人は被控訴人田中に対し、本件各土地につき昭和三二年一二月一八日付売買契約に基づく所有権移転のため被控訴人千葉県知事に対する許可申請をなすべき義務があることが確定されており、本件各許可処分は、被控訴人田中が、控訴人に対し右の義務を前提として許可申請をなすべきことを命ずる右確定判決(給付判決)をもって単独でした申請に対してなされたものであるから、控訴人は、右申請義務を履行したこととなり、申請に添う処分がなされたのであるから、本件各許可処分によってはなんらの不利益をも蒙っておらず、その取消しを求めることにつき法律上の利益を有しないといわねばならない。
控訴人は、この点につき、本件各許可処分が取り消されれば、本件各土地の所有権は復帰するのでその取消しを求める利益を有すると主張する。なるほど、本件各許可処分の取消しによって本件各土地の所有権は、控訴人に復帰する道理であるが、それは、農地法上の当然の事理であり、控訴人は、かかる農地売渡人の一般的地位を自己の利益と見立てて主張しているにすぎないと解されるから、もとよりこれをもって法律上の利益とみることはできない。
(渡辺 田畑 丹野)