大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)1241号 判決

被告人 高橋忠

〔抄 録〕

証拠によると、右手押車(鉄パイプ七本の積載を含む。)は、被告人が窃取した公衆電話機(赤電話)二台の運搬用に利用したもので、手押車自体の経済的価値に着眼して持ち出したものではないことが認められるが、しかし右赤電話二台の窃取場所は、東京都中央区銀座七丁目の中央通りに面する銀座繁華街であって、被告人は、右赤電話二台を壊し、中の電話料金をとろうとして、人通りの少ない場所まで運搬する目的から、右手押車に電話機を乗せて持ち去ろうとしたものであるから、返還の意思はもとよりなく、使い捨てにする意思であったことは明らかである。従って手押車につき、その場から二〇メートル前後搬出した所為は、すでに管理者の占有を排除し、その支配を取得したものというべく、右事実に徴すれば、被告人に不法領得の意思があったことを否定することはできない。そして前記のように、右手押車の中には工事用鉄パイプ七本が積載されていたのであるから、右鉄パイプ自体につき、被告人において関心がなく気づかなかったにせよ、これを除去せず、積載したまま手押車を持ち去った以上、それらを包括した全部につき窃盗罪が成立するものというべきである。

(岡村 高山 小瀬)

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