大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)1949号 判決

被告人 水谷保孝 外二名

〔抄 録〕

所論は、共同暴行罪の成否について、(一) 原判決が、「乱闘の最中、少くとも一度は、二人以上の中核派と渡り合ってこれから暴行を受けた蓋然性が極めて高い」、「中核派の者から直接身体的な打撃を加えられたことのない者があったとしても、前記事情と状況の下にあっては、その者の身の回りないし目前において展開された自己の仲間(同士)に対して加えられたであろう中核派の多数の暴行は、とりもなおさず、その者自身の身体にも感応する有形力の行使でもあったと評価しうる」と判示したのが、革マル派集団と中核派集団という集団に目を奪われ刑法の基本的原理を没却してなした誤った事実認定である<中略>というのである。

(一)について。しかし、原判決が、「争点についての判断」四の「(二)の点について」の項において、本件暴力行為等処罰に関する法律違反の罪の被害者について一人ひとりの特定に努めたうえ、「法令の適用」の項において、被害者ごとに一罪が成立することを前提にした法令の適用をしていることからみてもわかるように、集団に目を奪われて集団としての身体の安全を前提にした事実認定をしているわけではなく、中核派の集団約五〇名と革マル派の集団約四〇名とが、平たんな五五年館前の広場一杯に広がって両派入り乱れて党派的乱闘を繰り広げ、その乱闘が約一〇分間続けられたという状況の下では、中核派の構成員が竹ざおで革マル派の構成員に加えた個々の有形力の行使は、それが直接身体に対する打撃となった革マル派構成員に対する暴行であるにとどまらず、その近くにいる革マル派構成員に対する暴行とも評価できるという趣旨であり、原判決の右事実判断は十分肯認することができるものである。

(藤野 坂本 小田)

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