大判例

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東京高等裁判所 昭和52年(う)939号 判決

被告人 内山昇

〔抄 録〕

職権をもって調査するに、原判決は、被告人の脇差二振、けん銃二丁、実包一四発の各所持につき、右物品ごとにそれぞれ包括的な一個の所持罪が成立し、かつ右各所持罪が刑法五四条一項前段の一所為数法に該当し、右は原判示確定裁判のあった罪と同法四五条後段の併合罪であるとして被告人を処断しているのであるが、原判決挙示の関係証拠によれば、被告人は、昭和五一年九月上旬ごろ白井修にまずけん銃一丁(通称デリンジャー)、脇差三振、実包六発を預け、ついで同月中ごろけん銃一丁(スミスアンドウエスタン)と実包一四発ぐらいを預けたが、同年一〇月初めごろ右脇差三振を持ち帰り、さらにその二、三日後改めて脇差一振を預けたことが認められるから、右けん銃二丁については一丁ごとにそれぞれ所持罪が成立することが明らかであり、実包、脇差についてもそれぞれ別個に数個の犯罪が成立する可能性があるので、これらが物品ごとにそれぞれ包括一罪であるとはいえず、また犯行の日時、態様その他からみて、けん銃、脇差、実包の各所持罪全部が一所為数法の関係にあるともいえず、さらに原判決が摘示するように、本件においては物品ごとに包括一罪が成立し、これが一所為数法の関係に立つとしても、本件各物品につき所持が終了したのは原判決が挙示する確定判決の後であるから、本件犯行が刑法四五条後段の併合罪であるとはいえない(最高裁昭和三五年二月九日決定刑集一四巻一号八二頁参照)ので、原判決には、事実を誤認し、法令の適用を誤った違法があるといわなければならない。しかし右の違法を是正し、本件各所為を併合罪として処断することとすると、被告人に対する処断刑の上限は、原判決が摘示する処断刑の上限を上廻り、明らかに被告人に不利益な結果を来すことになるから、被告人のみが控訴した本件においては、原判決の前記違法は結局判決に影響を及ぼさないものとして、原判決を破棄しないこととする。

(小松 佐野 鈴木)

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