東京高等裁判所 昭和53年(ネ)2876号 判決
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【判旨】
(一) 被控訴人は、昭和五一年五月当時における本件土地附近における一立方メートルあたりの土場渡し価格は、砂利は金二五〇〇円、砂は、金一三〇〇円であるから、控訴人らの採取量に右単価を乗じた価額相当の損害を被つた旨主張する。
しかしながら、被控訴人が本件不法行為によつて被つた財産上の損害は、本件土地に埋蔵されている状態における砂利、砂の交換価格であるというべきであるから、右砂利、砂の交換価格は、被控訴人が控訴人の如き砂利採取業者に右砂利、砂の採取を委託し、その採取されたものを販売した場合に得べかりし利益を基準として考えるのが適当である。ところで<証拠>によれば、本件土地近辺での砂利、砂の販売価格には相場があり、土場渡し(採取現場で買主が引き取る方法)の価格は砂利一立方メートル当り二四〇〇円ないし二五〇〇円、砂一立方メートル当り一三〇〇円を相当とするが、採取業者が地権者に掘削後埋戻しをすることを条件に採取料を支払つて、砂利、砂を採取し、これを販売する場合、採取料、採取船・選別機等に要する費用、労賃、埋戻費用等の諸経費を控除した利益は販売価格の約一割相当を普通とすることが認められる。これに対し、被控訴人が前記のように採取業者に採取を委託する場合は、右埋戻費用、採取料以外の採取業者の経費と採取業者に支払うべき報酬を販売価格から控除したものが被控訴人の得べかりし利益となる筈であるが、此のような場合の採取業者に支払うべき報酬を採取業者が自ら採取販売する場合の前記利益率一割に比しどの程度と認めるを相当とするかを判断するに足る資料がないから、結局、被控訴人の得べかりし利益は右の採取料、埋戻費用の合計額相当のものであることは間違いないとしても、それ以上の幾何であるかを確定することができない。ところで、<証拠>によれば、本件土地附近における採取業者が地権者に支払う砂利・砂の採取料は、掘削土地を作業終了後埋戻しにより原状に回復することを条件として一反(約九九一平方メートル)あたり金三〇万円ないし五〇万円であることが認められ、控訴人らが掘削した本件土地の表面積は前記のように約四〇〇〇平方メートル(四反、端数切捨)であるから、弁論の全趣旨に鑑み、右表面積(四反)に採取料の最高額である反あたり金五〇万円を乗じた金二〇〇万円を本件の場合の前記採取料相当額と認める。また、本件の場合の埋戻費用相当額が一立方メートル当り金七〇〇円であることは当事者間に争いがない。
(田中永司 宮崎啓一 岩井康倶)