東京高等裁判所 昭和53年(ネ)2887号 判決
二 3 以上の認定事実に基づき、民法第七七一条によって準用される同法第七六八条の規定する財産分与の請求が夫婦共同生活中の共通財産の清算、離婚そのものに起因する相手方配偶者への損害の賠償及び相手方配偶者の離婚後の生活の扶養という内容を含むものと解すべきであることを考慮して諸般の事情を勘案すれば、本件における財産の分与として被控訴人に対しては本件建物、本件懸場帳九冊及び現金五〇〇万円を分与させるのが相当である。
したがって、被控訴人の財産分与の申立てについては右の限度において分与を命ずることとし、かつ、控訴人をして本件建物につき右財産分与を原因とする所有権移転登記手続をすること、本件懸場帳九冊を引き渡すこと及び現金五〇〇万円を支払うことを命ずることとするのが相当である。
三 してみれば、控訴人の本件控訴は理由がないことに帰し、これを棄却すべきものであるが、人事訴訟手続法第一五条第一項ないし第三項の規定によれば、離婚訴訟において財産の分与を命じ、かつ、その給付を命ずるについてはこれをいずれも判決主文に掲げてなすべきものであるから、原判決中財産分与に関する部分(主文第二項ないし第五項)には書損に類する明白な誤謬があるものと見るべきものであり、右財産分与に関する部分につき職権をもって主文のとおり更正することとする。
(安倍 長久保 加藤)
〔補注〕(主文)原判決中主文第二項から第五項までを次のとおり更正する。
1 原判決別紙物件目録(一)記載の建物、同物件目録(二)記載1ないし9の各配置薬懸場帳と題する帳簿九冊及び金五〇〇万円を被控訴人に分与する。
2 控訴人は被控訴人に対し、右建物につき財産分与を原因とする所有権移転登記手続をなし、右配置薬懸場帳九冊を引き渡し、金五〇〇万円を支払え。