東京高等裁判所 昭和53年(ラ)1102号 決定
強制競売における競落許可決定に対する即時抗告において債務完済を理由とすることが許されるかについては議論の存するところであるが、弁済を証する書面として弁済証書あるいはこれに準ずるものとして弁済供託証書が提出されたときは、民訴法五五〇条四号の規定の準用により同法六八一条二項、六七二条一号後段によって競落許可決定を取り消すべきであるが、仮に債務が弁済された場合でも、請求異議の訴提起に伴う仮の処分としての執行停止決定正本を裁判所に提出して競落許可決定の取消を求めるのが本来の手続のあり方であって、弁済証書が提出されず、弁済の事実を弁済証書、弁済供託証書以外の書面及び当事者審尋によって証明しようとするときは強制執行は同法五五〇条四号によっては停止又は制限されないのであるから、弁済証書、弁済供託証書以外の書面又は当事者審尋によって弁済を証明する方法によっては同法六八一条二項、六七二条一号によって競落許可決定を取り消すことはできないものといわなければならない。
(鈴木 糟谷 浅生)