大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ラ)385号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

本件抗告の趣旨は、「原決定を取消す。本件競落を許さない。」との裁判を求めるというにあり、その理由の要旨は、「抗告人は、債権者に対し、昭和五三年五月二九日申立債権全額(申立債権元金一、四〇五万円とこれに対する昭和四六年一二月二一日から昭和五三年五月二九日まで年五分の遅延損害金四五二万一、九一三円)と執行費用金九九万円とを弁済供託し、昭和五三年六月一二日執行費用の不足額金五万六、五七七円を弁済供託したので、本件執行債権はすべて消滅した。よつて本件競落は許されない。」というのである。

そこで、本件記録並びに抗告人提出の供託書正本二通によれば、抗告人は、その主張の日に債権者に対し本件執行債権(申立債権と執行費用)を全額弁済供託したことが認められる。そして、右のように弁済供託したからといつて債務名義の効力が当然に消滅することにはならないが、供託書正本の提出は民訴法五五〇条四号の弁済証書の提出に準ずるものというべきであつて、本件のように、競落許可決定に対し即時抗告の申立があり、同法五五〇条四号所定の証書に準ずるものが提出されたときは、抗告裁判所は競落許可決定を取消したうえ、さらに競落不許の裁判をすべきである。けだし、右証書の提出が換価処分である競落許可の後であることからその状態で執行を停止すべきではあつても同法六七二条一号後段所定の「執行を続行すべからざる」場合にあたらないとして抗告を棄却するときは、競落許可決定は確定し、その後は満足の段階を残すのみとなり、競落人の競落不動産所有権の取得を阻止できなくなり、妥当でないからである。

(田尾桃二 高野耕一 小川克介)

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