大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(行ケ)123号 判決

原告は、本件商標と引用商標とを類似するとした審決の判断を誤りであると主張するので、順次これを検討する。

1 本件商標の称呼

本件商標の「夢美」が漢字二字よりなる造語であつて、各文字の有する称呼の組み合わせによつて、「ユメミ」、「ユメビ」、「ムビ」、「ムミ」、「ユメヨシ」、「ムヨシ」等の称呼を生ずるものであることは、原告自ら認めるところである。そうだとすると、一般の取引者、需要者が始めて本件商標に接した場合は、そのすべてが一定した読み方を選ぶものとは考えられず、むしろ、特段の事情のない限り、ある者は「ユメミ」、ある者は「ムビ」又は「ムミ」、ある者は「ユメヨシ」と呼ぶ等様々な称呼を生ずるであろうとみることが自然と思われる。

原告は、本件商標が「ユメミ」の称呼で顧客に親しまれて来た旨主張し、成立に争いのない甲第五号証及び第八号証の各一ないし四にはその趣旨の記載が存するが、仮に、そのような事実があるとしても、本件商標がその登録時においてすでに「ユメミ」の称呼によつて著名であつたという事情が認められない本件において、「ユメミ」の称呼を知らない取引者、需要者がその他の称呼をもつて指称することは十分考えられるところであつて、本件商標から「ユメミ」以外の称呼が生ずることを否定するに足りるものとはいえない。

次に、原告は、本件商標の指定商品に「寝具類」があり、また、指定商品「被服」にもねまき、パジヤマ等のあることを根拠に、就寝ないし睡眠との連想上、本件商標が「ユメミ」もしくは「ユメビ」と称呼される旨主張する。しかし、右主張は、「ユメミ」もしくは「ユメビ」が本件商標から生じ易い称呼であることの説明としては首肯しえても、だからといつて、それ以外の称呼が直ちに自然的称呼ではないということにはならない。

また、原告は、漢字造語の読み方の通則について主張するが、「夢美」のような造語の第一字目が訓読みされるのが普通であるとの点については、これを裏付けるに足りる証拠はなく、その他「ムミ」の称呼をもつて不自然とすべき資料も存しない。

結局、原告の主張、立証によつても、本件商標についての前掲各称呼中「ユメミ」のみが自然に発生すべき称呼であるとは認めえないものであるから、本件商標について「ユメミ」のほかに「ムミ」の称呼を生ずるとした審決に誤りがあるとはいえない。

2 引用商標の称呼との対比

成立に争いのない甲第三号証によると、引用商標は、審決認定のとおりの構成及び指定商品のものであることが認められ、その構成上「ムーミー」の称呼を生ずることは明らかである。そして、本件商標の称呼「ムミ」と引用商標の称呼「ムーミー」とは、マ行有声音の「ム」、「ミ」の二音からなる点で共通し、後者の二音がともに長音である点に差異があるにすぎないから、両称呼が極めて紛らわしく聞き誤るおそれのあることは多言を要しないものというべく、これに反する原告の主張は採用することができない。

3 指定商品の取引態様

原告は、本件商標と引用商標とが称呼上紛らわしいとしても、取引の態様からみて、両商標は全体として非類似であると主張する。しかし、両商標の指定商品たる被服、布製身回品及び寝具類が、いわゆる大口取引者間のみならず、一般需要者によつても直接購売の対象とされるものであることは、経験則上明らかであるところ、そのような一般取引において、商品の出所を識別するうえで、商標の称呼ではなく、外観、観念のみが問題となるものとは容易に考えられないし、本件において、両商標の称呼が類似しているにかかわらず、なお商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがないとする特段の取引状況があることについては、これを認めるに足りる証拠が全くないから、原告の右主張も採用するによしない。

以上のとおりであつて、原告の主張はいずれも理由がなく、本件商標と引用商標とが類似するとした審決に違法はない。

よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。

第一(本件商標)

<省略>

第二(引用商標)

<省略>

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