大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(行ケ)83号 判決

本件商標は、別紙(一)記載のとおり、「Cherry Pearl」の欧文字を上段に、「チエリーパール」の片仮名文字を下段に、それぞれ左横書きにしてなり、上段の「Cherry」と「Pearl」は近接して表わされ、下段の「チエリーパール」の各文字は同じ書体、大きさ及び間隔で表わされているものであることが明らかである。

ところで、わが国において、「Cherry」とは「さくら」又は「さくらんぼ」を意味する英単語であつて、その発音を片仮名文字で表わしたものが「チエリー」であり、また、「Pearl」は「真珠」を意味する英単語であつて、その発音を片仮名文字で表わしたものが「パール」であると広く知られていることは、顕著なところである。本件商標は、「Cherry」と「Pearl」及び「チエリー」と「パール」の各二語をそれぞれ結合した一つの造語であるが、その前記構成に照らし、全体として「チエリーパール」と一連に称呼しても冗長にわたるわけではなくごく自然に称呼されうるものであり、また、「Cherry」「チエリー」と「Pearl」「パール」との間には、それぞれの観念から生ずる記銘力あるいは一般人に与える印象において、ほとんど優劣の差はなく、これがおのずと結びついており、さらに、両者が、前記のとおり、それぞれ「さくら」「さくらんぼ」あるいは「真珠」の意味として認識されているため、これらから一般に受ける印象は、いずれも清楚でしかも華やかな美しさを有するものとか、あるいは小粒で愛らしい美しさを有するものというイメージにおいて共通しており、一連に、さくら色の真珠を連想させることもあろうし、両者の結合が格別不自然であるとはいえないから、本件商標につき、ことさら後半の「Pearl」「パール」の部分のみを抽出して分離観察すべき事情があるとは認め難く、むしろ、両者が一連一体に結合しているものとみるのが相当である。したがつて、本件商標は、取引上、「パール」とのみ簡略化されて称呼される可能性はまずなく、「チエリーパール」と一連一体に称呼される、全体として一つの造語よりなる商標であるというべきである。

これに対し、引用A商標は、別紙(二)記載のとおり、「パール」の片仮名文字を縦書きにしてなるものであり、また、引用B商標は、別紙(三)記載のとおり、「PEARL」の欧文字を左横書きにしてなるものであるから、それぞれその構成文字に相応して、単に「パール」の称呼及び「真珠」の観念を有するにすぎないことが明らかである。

したがつて、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念において相紛れるおそれがない非類似のものというべきであつて、原告が主張するように称呼及び観念において類似するとはいえないから、本件審決の判断に誤りはない。

よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。

別紙(一) 本件商標

<省略>

別紙(二) 引用A商標

<省略>

別紙(三) 引用B商標

<省略>

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