東京高等裁判所 昭和53年(行ソ)11号 判決
一 再審原告の主張中、原判決が再審原告主張のような経過で確定したことは当事者間に争いがない。そして成立に争いのない甲第九、一〇号証によれば、証人大江恒夫は昭和四〇年三月九日の口頭弁論期日において、証人下田保徳は同年六月一日の口頭弁論期日においてそれぞれ証言したことが認められる。
二 再審原告は、右両証人が偽証したとして民事訴訟法四二〇条一項七号、二項の再審の事由を主張し、二項の要件としては、右偽証罪についての公訴の時効の完成により有罪の確定判決を得ることができないことを挙げる。
そこで検討すると、仮りに右両証人の右各口頭弁論期日における各証言が原告主張のとおり偽証であつたとしても、弁論の全趣旨によれば、右各口頭弁論期日から七年以内に偽証罪で公訴の提起がなされなかつたことが認められるから、刑事訴訟法二五〇条三号、五五条一項但書、刑法一六九条により、右各証言の日から七年を経過した日に、即ち、証人大江恒夫については、昭和四七年三月八日の経過により、証人下田保徳については、昭和四七年五月三一日の経過により、それぞれ公訴の時効が完成したことになる。
三 ところで、再審の訴は、民事訴訟法四二四条三項により、再審事由を当事者が現実に認識した日時の如何にかかわらず、判決確定後五年を経過したときは提起することができないが、同法四二〇条一項七号の場合で、同条二項の要件が判決確定後に充足されたときは、同法四二四条四項により、右五年の期間は、同法四二〇条二項の要件を充足したときから起算することになる(最高裁昭和四七年五月三〇日判決、民集二六巻四号八二六頁参照)。
そうすると、本件において、公訴の時効の完成により、前記証人両名につき、偽証罪の有罪判決を得ることができなくなつたのは、原判決が確定した昭和四一年七月一日以降であるから、右五年の期間は、前記各公訴の時効の完成した日から起算しなければならない。しかし、再審原告が、本件再審の訴を提起したのは、昭和五三年一二月三〇日であることは、当裁判所の職責上明らかであるから、本件再審の訴は、前記の両証人のいずれについても偽証罪(仮定)の公訴の時効の完成した日から、五年を経過した後に提起されたものといわなければならない。したがつて本件再審の訴は、民事訴訟法四二四条三項、四項により不適法であつて却下を免れない。
四 よつて、本件再審の訴を却下することとする。