東京高等裁判所 昭和54年(ネ)1642号 判決 1981年10月08日
控訴人 安西徳作
控訴人 安西初美
右両名訴訟代理人弁護士 井上恵文
西村孝一
水野正晴
永井均
渡辺時子
被控訴人 国
右代表者法務大臣 奥野誠亮
右指定代理人 東松文雄
<ほか四名>
主文
本件控訴を棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
控訴人ら(原審原告ら)は、
原判決を取消す。
被控訴人は控訴人らに対し、各金一、一七八万八、三九三円及びこれに対する昭和四二年一〇月三日から各完済まで、各年五分の金員を支払え。
訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
との判決を求めた。
被控訴人(原審被告)は、控訴棄却の判決と被控訴人敗訴の場合における仮執行免脱の宣言を求めた。
当事者双方の事実に関する陳述は、いずれも原判決事実摘示のとおりであるから、原判決書事実欄第二の記載を、次のように字句の訂正をした上、ここに引用する。
判決書六枚目裏一行目「争行」を「走行」と、七枚目裏三行目「賃金」を「給与」と、同九行目「初美」を「初美(以下単に初美と記述する。)」と、それぞれ訂正する。
(証拠)《省略》
理由
当裁判所も、本件における控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断する。その判断理由は、原判決が説示するところとおおむね同一であるから、原判決書理由欄一ないし五の記載を、以下1ないし8のように補正した上、ここに引用する。
1 判決書一九枚目表八行目「中尾誉」の次に「(原審)」を、同九行目「中尾誉」の次に「(原審、当審)」を、同行「市丸宗光」の次に「、同杉村辰雄」を挿入する。
2 一九枚目裏一〇行目「五名」を、「四名」と、「からは」を「以降」と、一一行目「二名」を「三名」と訂正する。
3 二二枚目表八行目「佐藤正太」の次に「、同高武繁」を挿入し、同裏八行目「行なわれる」を「行なわれた」と、二三枚目表七行目「断撃」を「斬撃」と、二五枚目表一〇行目「坐折」を「挫折」と訂正する。
4 二五枚目裏七行目「検証」の次に「(原審、当審)」を、二六枚目表一〇行目「原告」の次に「ら」を、二七枚目表二行目「佐藤正太」の次に「、同高武繁」を、「証言」の前に「各」を、三行目「幸野敏夫」の次に「、同杉村辰雄」を、「証言」の前に「各」を挿入し、「照して」を、「照らして」と訂正する。
5 二七枚目裏一行目「二キロ」を「三キロ」と改め、七行目「地内」の次に「の出発点」を挿入し、「一キロ」を「一・八キロ」と、八行目「上野口」を「野口原」と改める。
6 二八枚目裏五行目「原告」の次に「ら」を挿入し、二九枚目裏一行目「適確」を「的確」と訂正し、三〇枚目裏四行目「(なお、」から八行目「認められる)」までを削除し、四行目「こととした。」の次に「又中尾助教は出発前衛生課隊員に対し、持久走訓練を開始する旨を連絡した。」を付加する。
7 三一枚目表一〇行目「等が」の次に「、又」を、同裏八行目及び一一行目「検証」の次に「(原審、当審)」を、三三枚目表三行目及び七行目「中尾誉」の次に「(原審、当審)」を挿入する。
8 三三枚目裏九行目「原告」の次に「ら」を挿入し、三四枚目表七行目「坐折」を「挫折」と訂正し、同裏二行目「地内」の次に「の出発点」を挿入し、同「一キロ」を「一・八キロ」と改め、三五枚目裏六行目「できない。」の次に、「ただ、右認定のように、中尾助教は勝徳に対し、一旦は九月三〇日の訓練を休むことを指導しながら、同人の拒止に遇ってその指導を徹底しなかったのであるが、この際中尾助教が英断をもって勝徳に不参加を命じていれば、本件の事故は生じなかったのであるから、中尾助教の見とおしに誤りがなかったとはいえないであろう。しかし、当日の持久走出発前勝徳に疲労が見えたとはいえ、訓練参加隊員が疲労することは自然のことであるし、右に認定したところから明らかなように、当時中尾助教ら教育者側においては、勝徳に疲労が見えるということのほかに、同人を訓練から強制的に除外することを相当とする客観的資料を持ち合わさなかったのであって、このことと、一等陸士たる勝徳が自らの意思で訓練継続を希望したこととを考え合わせると、中尾助教が不参加を命じなかったのも首肯しえないことではなく、これをもって安全配慮義務違背の所為というわけには行かない。」と付加し、三六枚目表七行目「適確」を「的確」と訂正する。
以上引用並びに補正にかかる判断理由から明らかなように、控訴人らの本訴請求はいずれも失当であるから、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がない。よって控訴を棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条、九三条を各適用し、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 吉江清景 裁判官 手代木進 上杉晴一郎)
<以下省略>