大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(ネ)1910号 判決

控訴人が昭和三八年八月二二日文部大臣から本件解職処分を受けたことは、当事者間に争いがなく、また、控訴人が右処分に対してその取消又は無効確認を求める訴訟を提起したが昭和五三年二月九日言い渡された最高裁判所の上告棄却判決により原告の敗訴が確定したことは、控訴人の自認するところである。従って、控訴人は、右解職処分により理事たる地位を失うに至ったものというべきである。

もっとも、右解職処分に先立ち、被控訴人が控訴人の理事解任を決議したため、控訴人がこれを争い、昭和三五年一〇月二一日名古屋地方裁判所から仮に理事の地位を定める旨の仮処分判決を得ていたことは、当事者間に争いがないが、右仮処分は、被控訴人のした理事解任決議の効力をめぐる紛争が本案判決によって確定するまでの間、控訴人に対し、右解任決議が無効であった場合に控訴人の有すべき従来の理事たる地位を保全したにとどまるものであるから、右仮処分当事者以外であってかつ監督権を有する文部大臣によって本件解職処分がなされた以上、これにより控訴人の理事たる地位が失われることは当然である。本件仮処分に対してはこれは取消事由としての事情変更にあたること明らかであって、その限り、控訴人の理事たる地位は、本件仮処分が事情変更によって取り消されるまでは残存しているというを妨げないけれども、その場合観念される理事としての仮の地位は、解職処分によって実質を失った形骸に過ぎず、解職処分にもかかわらずなお控訴人を理事として処遇することを被控訴人に対して要求しうるような法的地位とはいえない。

従って、被控訴人が解職処分後(この解職処分に対して取消し又は無効確認を求める訴訟が提起されていたことは前示のとおりであるが、いわゆる行政行為の公定力により、右の裁判の確定まで待つ必要はない。)、控訴人を理事として遇しなかったことは違法な権利侵害とはいえず、控訴人に対する不法行為を構成するものではない。

(鈴木 倉田 高山)

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