東京高等裁判所 昭和54年(ネ)267号・昭54年(ネ)1104号 判決
本件売買契約は、最終の段階では、被控訴人でなく控訴人代表者と買主側との直接の交渉によって成立するに至ったものの、被控訴人は、控訴人との本件準委任契約の本旨にしたがい、その委任にかかる事務たる売買の媒介を、控訴人代表者の了解下に同代表者と連絡をとり、同代表者も時には買主側と直接接触する方法で進めていたのであるが、被控訴人の媒介により本件売買契約の約旨は目的土地の範囲、代金額において前認定の程度に買主・売主間に概ね意思の合致をみていたけれども、これらの点についても確定的合意に達していたとまでいえない段階で、控訴人代表者は右媒介の結果を基礎として、被控訴人抜きで、買主安田生命及び買主側仲介人有楽土地の担当者らと折衝し、本件売買契約の約旨細部を確定し契約書を取り交わすに至ったものであり、その結果、被控訴人は、控訴人との間の準委任契約の内容たる本件土地の売買契約の成立に至るまで媒介行為をなす事務を完了させるに至らなかったというほかはないが、このように控訴人が被控訴人を除外して右契約締結に至った点につき被控訴人の責に帰すべき事由は窺われない。
したがって、被控訴人は、控訴人に対し本件準委任契約に基き、履行の割合に応じて契約所定の報酬を請求することができ(民法六四八条)、叙上の事実を総合すれば、その金額は約定の四〇〇万円(売買価額の一〇パーセント)のうち二五〇万円をもって相当と認める。
(杉山 倉田 高山)